どぶろくを心の支えに

 福島第1原発事故で福島市の借り上げ住宅に避難している飯舘村の農家、佐々木千栄子さん(67)が、どぶろく造りを再開した。作業の忙しさが、単調な生活の連続で折れそうになる心をなんとか支えている。 (21日 12:00)

佐々木さんが造ったどぶろく「どぶちぇ」。自ら育てたコメで作った村の特産品だった

  • 震災前、佐々木さんは農作業の傍らどぶろくを造り、農家レストランも営業する働き者だった。現在、店の扉は閉じられたまま(福島県飯舘村)
  • 孤独な借り上げ住宅での生活。単調な一日を過ごすうち、次第に何も手に付かなくなった。自分らしくいられるのは、針仕事に熱中する時間だけとなっていた(8月6日、福島市)
  • 「このままではだめになる」。避難先で再び、どぶろく造りの認可を取った。夜明け前、仕込み作業が始まった(11月2日、福島市)
  • 長男の剛さん(右)とともに、黙々と作業に打ち込む。全袋検査済みのコメを使用し、完成後に再び放射性物質の不検出を確認するなど、安全には細心の注意を払った
  • 最大の問題は販路がないこと。「前はレストランで売っていたのに、今は物産展に出品するくらい」と寂しそうにつぶやいた
  • 仕込み直後(写真左)から数週間で度数が安定。黄色く色が変わり、どぶろくが完成した。12月24日、東京国際フォーラム(東京・有楽町)での物産展で販売する
  • 今秋、肺がんを患い看病を続けていた夫を失った。深い悲しみのなか、どぶろく造りだけを心の支えに、震災から2年目の年の瀬を迎える(11月28日、福島市)=写真 松本勇

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