風評被害に挑む

 全国有数の水揚げ高を誇った石巻漁港(宮城県石巻市)は、震災後の昨年7月に再開した。復興に向け歩み出した石巻魚市場は今、風評被害に立ち向かっている。現在は5台の簡易検査器で水揚げした魚などの放射性物質検査に取り組む。しかし、現在の検査器は、魚をさばいて、ミキサーですり身にしてから測定するため時間がかかる。今年10月から東北大学生活環境早期復旧技術研究センターは、解体せずに丸ごと魚の放射性物質を測定する機器の試験を石巻魚市場で行っている。測定データを多く集め、魚の安全をアピールし、風評被害を払拭したいと関係者は挑む。 (11日 16:00)

朝日が差し込む石巻魚市場。震災前の2010年は、年間約13万トンの水揚げ量で全国3位だった(11月20日、宮城県石巻市)

  • 石巻漁港に入る漁船が朝日を浴びて輝く。震災で地盤沈下した石巻漁港では昨年、仮のかさ上げ工事が行われた。来年、本復旧に向けて工事が入る予定という
  • 入札が行われる魚市場。市場には放射性物質の検査に取り組む案内が掲示される
  • 魚市場の検査室では、水揚げした魚などの放射性物質検査を行う。競りの時間に間に合わせるため担当者たちは奮闘する
  • 現在は、魚をさばいて、ミキサーですり身にし、検出器で測定する。約30センチ、1キロのマダラを測定するのに約30分かかる
  • 東北大が行う試験中の機器では、同様のマダラの測定が約3分で済むという。現在は測定のため魚を解体してしまい無駄になるが、実用化されれば測定した魚も販売できる
  • 将来的には測定機器をベルトコンベヤー式にして、1時間に約30センチの魚、約1000尾の測定を目指す。「消費者に魚の安全をアピールして、少しでも早く市場の取引を増やし、地域経済の復興につなげたい」と石巻魚市場の須能邦雄社長(11月20日、宮城県石巻市)
  • 機器の開発を進める東北大学生活環境早期復旧技術研究センターの石井慶造教授は、「測定の精度と効率を上げ、多くのデータを集めたい。水揚げされた魚が安全であることを数値で示すことで風評被害を払拭したい」と意気込む(11月20日、仙台市)=写真 小川望