面打ちを伝えていく 能面師

 宮城県山元町で能面作りに携わる沼田松政(しょうせい)さん(76)。後進の育成のため教室を開いていたが、震災で工房が流された。一度は再開を断念したが、数人の弟子たちの強い要望に後押しされ、7月から教室を再開、面打ちに励んでいる。 (29日 22:56)

沼田さんの作品。似ているが一つ一つ微妙に表情が異なる(宮城県山元町)

  • 沼田さんは16年前、定年を機に横浜から山元町に移り住み、面打ちの工房を開いた。それまでは会社に勤めながら技を磨いてきた。同町は妻が以前働いていたことがあり、ここで能面を打つ文化を伝えたいと思ったという
  • 教室再開のために新たに作ったプレハブの工房。広さは震災前の半分以下だ。多いときでは25人いた弟子も、今では震災被害を免れた5人に減ってしまった
  • 彫刻刀とノミだけで能面の豊かな表情を削りあげていく(写真左)。ヤスリを使わなくても、柔らかな丸みは出せる。「作業工程に易しいところはひとつもない」と沼田さん(同右)
  • 能面の製図。細かいところまで寸法が書かれている。「師範になるには削る技術だけでなく、製図や色の見極めなども必要」だという。沼田さんの教室からは、すでに2人が師範として独立している
  • 津波でさびまみれだった彫刻刀もきれいに手入れした(写真上)。横浜の師匠から授かった大事な師範免状も、泥をかぶったがなんとか無事だった(同下)
  • 自宅には沼田さんが作った能面がずらりと並ぶ。神社などの奉納用にと頼まれることが多い。「もうけるためにやっているわけじゃない。手を動かしているとボケ防止にもなるからね」と照れくさそうに話していた。以前のように弟子たちが戻ってくるのを願ってノミを持ち続ける(宮城県山元町)=写真 上間孝司

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