広島土砂災害5年 兄夫婦への悔い胸に歩き続ける

 災害関連死を含め77人が亡くなった2014年8月の広島土砂災害から5年となった20日、被災地では住民や遺族が追悼の祈りをささげた。同じ地区に住んでいた兄夫婦を亡くしその自宅跡に祭壇を造った立川新三さん(82)は2人のことを改めて思い出すとともに、街の復興への思いを新たにした。 (20日 18:50)

広島市安佐南区にあった兄夫婦の自宅跡に造った祭壇を見つめる立川さん。「毎年この日になるとあの傷だらけの顔を思い出す。何もしてやれなかったことがまだ重くのしかかっていて本当につらい。これからもこの日、この時間には必ずお参りしていきたい」と涙ながらに語った(20日未明)

  • 立川さんが花や野菜を植え造った祭壇。「ここから見える景色がきれいだからと住んだのに、こんなことになるなんて」と悔しそうな表情を浮かべた(13日)
  • 兄夫婦とは約50年間同じ地区で暮らし支え合ってきた。立川さんの自宅には趣味の登山を一緒にしたときの記念写真が飾られ、被災した時刻で止まった遺品の時計が置かれている(13日)
  • 立川さんが撮影した、街を襲った惨事と復興を記録した写真。5年前のあの日、外出先からあわてて戻ると目の前の光景に頭が真っ白になったという。「気がついたらカメラを手にしていた」と翌日から変わり果てた街を撮り続けた。写真は1000枚を超えた(19日)
  • 土砂災害以降、立川さんが暮らす地区の住人は約半分に減ったという。写真のアルバムには「団地の未来、復興はどうなる」とあった(19日)
  • 兄夫婦が土砂に巻き込まれた午前3時30分ごろ、祭壇に向かう。高齢のため坂道はきつく、いつも登山用のストックを使い上っていく。「もう元には戻らん。でも強い街になって、またみんなに戻ってきてほしい」と話す立川さん。大切な人の供養のため、そして街の復興を期待して歩き続ける(20日)=いずれも広島市安佐南区(小幡真帆撮影)