旅館再開 励ましに応えて

 11月1日、福島・土湯温泉の旅館「向瀧」が約1年8カ月ぶりに営業を再開した。福島第1原発の事故による風評被害に苦しむ温泉街で、大規模半壊と従業員全員解雇の老舗旅館の復活を後押ししたのは、利用客からの励ましの声だった。 (1日 17:47)

再オープン初日、宿泊客を出迎えるおかみやスタッフ(1日、福島市)

  • 福島市の山あいにある土湯温泉。震災と風評被害で16軒のうち5軒が廃業に追い込まれ、2010年度に20万5千人だった宿泊客は2011年度には7万5千人と、約3分の1に減少
  • 1921年創業の老舗旅館「向瀧」は地震による揺れで大規模半壊となり営業できなくなった。約60人いた従業員はやむなく全員解雇に
  • 営業を再開するかどうか「正直、迷った」と話す常務の佐久間輝さん(左、38)。そんな佐久間さんの背中を押したのは、利用客からの温かいメッセージだった(9月21日)
  • 「頑張って復興して下さい」。手紙や電話、メールで励ましの声が次々と届く。なかには新婚旅行や結婚記念日に利用したという夫婦のものも
  • 再開を決断した佐久間さんは資金繰りに走り回り、ついに改修工事に着手
  • 以前働いていた従業員のうち10人ほどが戻った。10月、新たに採用されたスタッフと共に研修が行われた(10月18日)
  • 2人一組で電話の受け答えを練習するスタッフ。接客係の佐久間愛さん(右、29)は「口癖になっている言葉に気をつけないと」と口元を引き締めた
  • 11月1日、営業再開。年末までの週末は、ほぼ満室の予約を得た。温泉街の紅葉も見ごろを迎えた
  • 「不安もあるが、一歩一歩頑張ってやるしかない」と話す佐久間さん。励ましの声に感謝の気持ちを込め、セレモニーで深々と頭を下げた(1日、福島市)=写真 松本勇

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