漁船新造急ピッチ サーキットの一角で仕上げ作業

 週末にはレースやイベントが開かれるサーキットの一角。海から遠く離れたこの場所で、製造中の漁船に装備品を取り付ける仕上げ作業が行われている。震災で船を失った漁師の元へ新しい漁船を早く届けるため、ヤマハ発動機が「スポーツランドSUGO」(宮城県村田町)に「菅生艤装(ぎそう)センター」を設けた。 (16日 22:17)

工場から同センターに運び込まれた新造船(宮城県村田町)

  • 仕上げの作業は本来、漁師それぞれの注文に合わせて販売店で行っているが、沿岸部のディーラーは津波で被災。通常の10倍を超える大量注文に応え「メーカーとしての責任を果たす」(同センターの末安郁郎所長)ため、系列サーキットの敷地内に開設した
  • 作業場所は屋内テニスコート。北海道、熊本県などの工場で作られた「和船」と呼ばれる小型漁船が並ぶ。新造が必要な被害漁船7000隻のうち、ヤマハ発動機は4500隻を受注。しかし、販売店の受け入れ能力を上回るため、1300隻の仕上げ作業を同センターで担当することになった
  • 2011年10月に稼働し、この1年間で約1000隻を出荷。残り300隻を来年3月までに送り出す予定だ。ほとんどが手作業になるため、新たに20人を雇用した
  • 装備は漁の種類や用途によって違い、作業内容はほぼオーダーメード。繊維強化プラスチック(FRP)製の船を、仕様書に従って加工していく
  • 船底部を保護するための塗装作業。貝類が付着するのを防ぎ、また付着したときにも取り除きやすくなる
  • 施設の駐車場に並ぶ新造船。期間限定の艤装センターは来年3月、役目を終える予定だ
  • 沿岸部の販売店に届けられ、エンジンなどが取り付けられた漁船。「とりあえず必要な船はなんとか間に合ったが、漁師が求める重装備な漁船はまだこれから」と販売店経営者。本格的な漁業復興に向けた取り組みは続く(10月11日、岩手県大船渡市)=写真 玉井良幸