移住先は被災地 若い力で復興へつなぐ

 カキとホタテの養殖が盛んな宮城県気仙沼市唐桑町。人口約6000人で、震災前に比べ千人ほど減ったうえ、高齢化が進んでいる。そんな小さな町に県外から20代の女性たちが移り住み始めている。きっかけは先輩移住者の存在。移住者がつなぐ復興の取り組みを追った。 (8日 16:45)

震災後に移住した女性は把握するだけで7人。多くはボランティアとして訪れた経験を持つ。大学時代、何度も通った男乕祐生(おのとらさちを)さん(24、右から2人目)は奈良県出身。「久しぶりに会っても名前を覚えていてくれ、町の人の優しさにひかれた」と移住の理由を話す。卒業後は気仙沼市で仕事を見つけ、昨年、地元の消防士と結婚した(カキやホタテのいかだが並ぶ海を背に、笑顔の移住してきた女性たち)

  • 東京都出身の根岸えまさん(25、右上)は町内の空き家を借り、兵庫県と富山県出身の女性と共同生活を送る。伝統芸能を学んだり、綱引き大会に出たりとすっかり地域に溶け込んだ。「お年寄りの生活の知恵、漁師のたくましさ・・・・・・。都会にない魅力があった」と話す。「いつか漁師さんと結婚したい」と将来の夢を描くまでになった
  • 女性たちの移住の背景には加藤拓馬さん(28)の存在があった。震災時は大学生だった加藤さん。ボランティアとして過ごすうち「復興を見届けたい」との思いが募り、決まっていた就職を取りやめ移り住んだ。観光客を呼び込むイベントを企画し、情報誌をつくるなど町内を駆け回る姿に、地元住民も信頼を寄せていった(2015年、漁師体験ツアーで観光客を案内する加藤さん、中央)
  • 「拓馬さんがいたから安心して(この町に)来られた」。移住者にとっても頼りになる加藤さんに、昨年10月、新たな仕事が舞い込んだ。市の委託事業で「気仙沼市移住・定住支援センター」のセンター長に就き、新規移住者や帰郷者に住まいや仕事などを紹介することになった(同センター)
  • 「地元に帰りたいけど仕事はどうしたらいいの?」。こうした相談をこれまでに50件以上受けた。2月にはボランティアの手を借りて空き家の清掃も行った。今後は「お試し移住プログラム」として短期間の宿泊体験を予定している(気仙沼市内の空き家の清掃)
  • 「気仙沼に移住のムーブメントを起こしたい。自分や彼女たちの存在が町の起爆剤になるはず」と加藤さん。移住者が移住者を呼び、加藤さんたちだからこそできる、復興につながる仕事がここにある(大阪写真部 山本博文)