巨大津波の予測どこまで? 堆積物調査の成果と課題 久保田 啓介 コラム 編集委員 科学&新技術 1月18日 東日本大震災からまもなく10年。500~1000年に1度と考えられる巨大地震が現実に起き、明治時代以降に近代地震学が蓄えてきた100年強の観測データでは予測が困難なことを見せつけた。それを機に脚光を浴びたのが、過去の大津波が陸地に運んだ堆積物などの痕跡を調べる研究だ。震災を教訓に日本各地で発掘調査が進み、成果が上がっている。その一方で、堆積物調査は不確実さも大きく、防災に役立てるうえで課題も浮か 巨大津波の予測どこまで? 堆積物調査の成果と課題
高知大特任教授・岡村真氏 震源域に広がり「起こる前提で」 4月18日 ■高知大特任教授・岡村真氏 震源域に広がり「起こる前提で」 紀伊半島から四国・九州にかけては、海側のプレート(岩板)の動きによって南東から北西の方向に力を受ける。このうち南北の動きは100年に1回の南海地震で解消される。一方、東西の動きを解消するのが中央構造線断層帯だ。 これまでも震源域が広域になることはあった。1596年に中央構造線に近い活断層が動き、別府湾や京都などで大地震が起こった。今回より 高知大特任教授・岡村真氏 震源域に広がり「起こる前提で」
南海トラフ地震Q&A 堆積物から学ぶ津波対策 5月19日 内閣府の有識者検討会が3月末に発表した南海トラフ地震の想定見直しは、高知県で最大津波高が34.4メートルに達するなど従来想定を大きく上回った。「千年に一度」とされる最悪の想定をどう受け止め、防災対策に生かすべきなのか。検討会のメンバーで、過去の津波の堆積物研究から南海地震の痕跡を追い続けてきた高知大の岡村真教授(63、地震地質学)に聞いた。 ――大津波が想定される沿岸部の住民や自治体からは「『千 南海トラフ地震Q&A 堆積物から学ぶ津波対策
2000年前の巨大津波、三重にも痕跡 3地震連動し到達か 5月13日 高知大の岡村真教授や松岡裕美准教授らは約2000年前に四国や九州を襲った過去最大級の津波が三重県尾鷲市にも到達していたことを突き止めた。九州東部や四国南部でも同時期に発生した巨大津波の痕跡を見つけており、東南海地震が南海、日向灘の大地震と連動して起きた可能性が高いとみている。 研究成果は千葉市で20日に開く日本地球惑星科学連合大会で発表する。 尾鷲市の須賀利大池の底を掘削し、津波が 2000年前の巨大津波、三重にも痕跡 3地震連動し到達か
スパコン「京」が被害見通す 津波の痕跡探しも脚光 3月9日 地震や防災の研究で世界の先端を走るといわれてきた日本。しかし東日本大震災の巨大地震や津波を想定できず、原発事故対応でも技術を十分に生かせなかった。次の巨大地震はいつ起きるかわからない。放射性物質の処理も待ったなしだ。研究の進め方や意識に変化が見え始めた。 今秋に本格稼働する世界最速のスーパーコンピューター「京」に地震研究者が期待を寄せている。地震や津波を従来よりも精緻に再現できるという科学的興味 スパコン「京」が被害見通す 津波の痕跡探しも脚光
連動型大地震の可能性 関西の防災力(5) 10月1日 東海、東南海、南海の3つが連動する巨大地震が現実味を帯びてきた。3つが同時発生した1707年の宝永地震では、今の大阪・難波周辺にも津波が押し寄せ、多数の死者が出たという記録が残っている。神戸市でも、2~3メートルの津波が来た痕跡が地質調査で見つかった。 3つの大地震は100~150年間隔で繰り返し、3回に1回の割合で宝永のように巨大になる。高知大学の岡村真教授は「次は宝永級になる可能性が高い」と 連動型大地震の可能性 関西の防災力(5)