食の味方 発酵仮面参上 小泉武夫さん The STYLE 6月19日 「食べることが我が人生」。福島の造り酒屋に生まれた発酵学者で文筆家の小泉武夫さんは、食文化に関わり続けてきた。野ウサギや山鳥、カエルなど自然の恵みで空腹を満たした子供時代そのままに、沸き立つ心で発酵の魅力を伝える。 ピュルピュルとよだれ、甘味がチュルチュル、生唾ゴクリンコ――。食欲を誘う独特の表現が、発酵学や食文化の専門知識を基にしたエッセーや著書にふんだんに登場する。ユーモアたっぷりの「小泉造 食の味方 発酵仮面参上 小泉武夫さん
木樽仕込みのイカ塩辛、70年のうまみ芳醇 サービス・食品 北海道 4月3日 北海道函館市はイカ加工品の生産が盛んで、塩辛でも名高い。小田島水産食品(同市)は塩辛のうまみを利用したアヒージョのもとなどのヒット作も生み出した。基盤となっているのが木の樽(たる)を使ってイカを発酵・熟成させる伝統製法。70年以上使い込んだ木樽は複雑にからみ合う塩辛のうまみを引き出す。 塩辛は魚介類を塩漬けにし、微生物や酵素の力で保存性や味を良くする発酵食品。一般に売られている塩辛にはうま味調味 木樽仕込みのイカ塩辛、70年のうまみ芳醇
マグロキムチ丼 辛さと甘味の絶妙極楽 生活 3月30日 キムチはすばらしい発酵食品である。韓国では白菜などの材料が採れなくなる冬場に備え、家族総出でキムチを大量に漬ける国民的行事を「キムジャン」と称し、晩秋の風物詩となっている。韓国がキムジャン文化をユネスコの無形文化遺産に提案したところ、2013年に登録された。「韓国人の日常生活で世代を継いで伝えられてきたキムジャンは、韓国人に隣人との分け合いの精神を実践させ、連帯感や所属感を深めてきた」としている マグロキムチ丼 辛さと甘味の絶妙極楽
春の北海すし 味覚極楽の世界に感動 生活 北海道 3月23日 暦の上では春となり、北海道にも待望の季節がやってきた。札幌にも住んでいて東京と往来していると、季節の変化は人一倍感じるもので、このところ札幌に来る度に少しずつ春の息吹が感じられる。 食べ物が春夏秋冬ではっきりと分かれるのが北海道の風土のようで、魚介類に至っては冬の旬の物や春の旬の物、夏のもの秋のものが区別されて市場に出てくるのは誠に面白く、我が輩のような食いしん坊にはうれしいことなのである。 札 春の北海すし 味覚極楽の世界に感動
恵那のごはん 知恵と滋味あふれる伝統 生活 3月16日 岐阜県恵那市に講演に招かれて行ってきた。県の南東部にある自然豊かな町で、有名な景勝地の恵那峡や中山道六十九次宿場で最大の大井宿があるなど、歴史的に交通の要衝の地であった。集落には昔ながらの貴重な食べものが今でも残っていて、大変感心しながら賞味してきた。 飯地町ではスルメを米糀(こうじ)で造った塩甘酒に1カ月間漬け込む「スルメの糀漬け」をいただいた。スルメはピンク色に美しく着色し、食べてみるととて 恵那のごはん 知恵と滋味あふれる伝統
ハタハタ 身はホクホク、微かな甘み 生活 3月9日 ハタハタ(鰰)の語源は、雷の鳴る「ゴロゴロ」という擬音語である。雷が鳴ることを古語で「はたたく」ともいい、ハタハタが雷に由来するのは、初冬の吹雪時に雷が鳴ると急に海岸に近寄ってくる魚だからだという。魚偏に神と書くのは雷を神に例えて「ハタガミ」といったからである。 主に秋田県と山形県沖、一部新潟県北部沖の日本海に多く分布していて、これらの地方にはハタハタの利用法や料理法が昔から伝わっている。秋田県 ハタハタ 身はホクホク、微かな甘み
マダラ三昧 和に洋に 雪白色の愉楽 生活 3月2日 切り身が雪のように白いというので、魚偏に雪と書いて「たら」と呼ぶようになった。日本ではスケソウダラとマダラが主に食べられている。この連載でタラは二、三度取り上げたが、最近おいしいマダラを食べたので書くことにする。 近くのデパートの食品売り場で先日、「釧路港直送マダラ」の張り紙があった。切り身は透明に近い白身で皮に艶があり、身を指で押してみると弾力性があり、全体がバリッと張っていて新鮮そのものであ マダラ三昧 和に洋に 雪白色の愉楽
焼き餅 香ばしい匂い たまらず 生活 2月17日 我が輩が生まれた福島の実家では昔から、年末になると正月用の餅をつき、神棚や仏前にささげる備えをする。雑煮や汁粉にも使うので、かなり大量の餅をついたのである。酒蔵は麹室(こうじむろ)、精米所、釜場、酛(もと)場、もろみ仕込み本蔵などに分かれていて、全てに供え餅が必要なので、一日中餅つきという日もあった。 今でも思い出すのは、正月も三が日が終わった後から食べ始めたあんころ餅と焼き大福の格別の味である 焼き餅 香ばしい匂い たまらず
牛肉豆腐 焼酎・ワイン 何でもござれ 生活 2月10日 発酵学者の宿命のようなもので、毎日のように味噌汁や漬物、納豆、酢のもの、ヨーグルト、パン、チーズなど発酵食品を食べているし、発酵嗜好品である酒も毎日のようにうれしくいただいている。日本酒、焼酎、ワイン、ビール、ウイスキーなどそれぞれの酒のさかなに何を作るか、いつも迷うのである。 いっそのこと、どんな酒とでも相性のよい一品はないものかと考えたところ、思い当たったのが「牛肉豆腐」であった。これなら日 牛肉豆腐 焼酎・ワイン 何でもござれ
ブリ椀 濃厚なうま汁 ジュルリ 生活 2月3日 ブリはこれからがいよいよ垂涎(すいえん)の魚となる。照り焼き、塩焼き、あら煮、西京焼き、竜田揚げ、味噌漬け、鍋物と、いかような料理でもおいしい魚である。 我が輩はとびっきり新鮮なブリを使って作る吸い物が大好きで、それが「ブリ椀(わん)」である。ブリ(2切れ)は二つに切り、薄塩をしてしばらく置き、一度熱湯をかけてからゆでる。大根とニンジンは薄く切って細長いバチ型に形を整え、薄い塩味の熱湯でゆでる。 ブリ椀 濃厚なうま汁 ジュルリ