土門拳と入江泰吉、巨匠を魅了した奈良「雪の室生寺」 関西タイムライン 関西 奈良 2月25日 戦後日本を代表する写真家で、奈良大和路を愛した土門拳(1909~90年)と入江泰吉(05~92年)。報道写真家としてリアリズムの旗手といわれた土門は「剛」、仏像や古寺の風景を叙情豊かに追い求めた入江は「柔」と作風は好対照ながら、ともに「女人高野」として名高い室生寺(奈良県宇陀市)の撮影に力を注いだ。とりわけ雪の室生寺は2人の巨匠を魅了した。 土門が初めて室生寺を訪れたのは39年の暮れ。弥勒堂の釈 土門拳と入江泰吉、巨匠を魅了した奈良「雪の室生寺」
時代捉えた不朽の1枚 北九州で写真史たどる展覧会 福岡 九州・沖縄 7月12日 長く待ちわびた写真展がようやく開催――。北九州市立美術館分館で開かれている「フジフイルム・フォトコレクション 日本写真史をつくった101人―『私の1枚』」を見に行った。 写真黎明期の作品から、明治・大正・昭和・平成と日本を代表する写真家の代表作、各々1点が、銀塩プリントで展示されている。サブタイトルの「私の1枚」は、作家自身が選ぶ特別の作品を意味する。 写真展は本来、4月11日から開催予定だった 時代捉えた不朽の1枚 北九州で写真史たどる展覧会
奈良原一高 映像美で切り開いた日本写真の最前線 文化往来 1月21日 写真家の奈良原一高氏が88歳で他界した。美術史を学ぶ大学院生だった1956年に開いた初個展「人間の土地」で一躍脚光を浴びた。緻密な構図で、まるで映画のワンシーンのような「映像美」をたたえた作品は、リアリズム写真が主流だった当時の写真界で大きな反響を呼んだ。写真史家の金子隆一氏は「戦後の日本写真の発展の最前線を切り開いた」と評する。 「人間の土地」は桜島噴火で埋没した黒神村(鹿児島市)を写した第1 奈良原一高 映像美で切り開いた日本写真の最前線
ミュージアムとコレクション(下) 動き出す対外発信 文化往来 6月28日 昭和を代表する写真家の木村伊兵衛や土門拳、現代美術家の森村泰昌らによる写真作品200点超。2019年10月、カナダのオタワにあるナショナル・ギャラリー・オブ・カナダで、横浜美術館(横浜市)の所蔵品展「氾濫 20世紀日本の写真」が開かれる。日本の公立美術館が自前の収蔵品をパッケージにして海外に売り込む珍しい試みだ。 日本で「ルーヴル美術館展」といったコレクション展は数多いが、海外で日本の美術館の名 ミュージアムとコレクション(下) 動き出す対外発信
仏像と日本人 碧海寿広著 批評 読書 9月15日 本来的には信仰の対象であった仏像を、私たちは明治以降、美術作品として「鑑賞」の対象にもしていった。そしていま、日本人は仏像をどのような眼差(まなざ)しで見ているのか、その過程を丹念に追ったのが本書だ。 明治元年(1868年)の神仏分離令を契機とした廃仏毀釈の嵐は、寺院や仏像に巨大なダメージを与えた。そこからの復興の道筋として、寺院の什宝(じゅうほう)を「文化財」と見なし、国が保護するという形がで 仏像と日本人 碧海寿広著
写真家三木淳と「ライフ」の時代 須田慎太郎著 批評 11月4日 アメリカの週刊写真雑誌『ライフ』(1936~72年)と言えば、報道写真の傑作を生み出し、テレビ時代以前に最も信頼されるグラフジャーナリズムを担って、一世を風靡した雑誌である。三木淳(19~92年)は日本人として初めてこの雑誌の正式カメラマンとなった人物で、戦後すぐに頭角を現し長く活躍した写真家である。著者はこの小説的評伝によって、自分の師でもある三木淳の一生を愛情と情熱をもって描き出した。 岡山 写真家三木淳と「ライフ」の時代 須田慎太郎著
日本の写真に注目、米国各地で展示 話題集めの遠征も 9月16日 【ニューヨーク=河内真帆】日本の現代写真が米国で注目されている。海外では知名度が低いながらも実力派の作品が美術館やギャラリーで取り上げられるようになり、コレクターの間でも新鮮な才能の登場に驚きと興味を示す声が出てきた。 画廊が集積するマンハッタンのチェルシー地区にあるミヤコ・ヨシナガ・ギャラリーで14日、日本人写真家、原美樹子氏の個展「イン・ザ・ブリンク・オブ・アン・アイ(瞬くうちに)」が始まっ 日本の写真に注目、米国各地で展示 話題集めの遠征も
唐招提寺の天井裏で格闘 入江泰吉と大和の古社寺(3) 7月28日 入江が仏像にのめり込むきっかけは終戦直後、白い布に包まれた仏像4体が担架に乗って東大寺に運ばれるのを見た時だった。四天王像が疎開先の山寺から戻ってきたのだが、まるで葬列のようだった。ちょうどその頃、GHQ(連合国軍総司令部)が仏像を接収するとの噂も流れた。「接収される前に仏像を記録したい、守りたい」。心に強い使命感が湧き起こった。 唐招提寺には"天井裏のエピソード"が残る。寺は仏像の一部を東室と 唐招提寺の天井裏で格闘 入江泰吉と大和の古社寺(3)