頻尿、尿漏れ引き起こす「過活動膀胱」 なぜ起こる?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)急に我慢できないような強い尿意が起こることがある
(2)トイレまで尿を我慢できずに漏らしてしまうことがある
(3)過活動膀胱を抑える薬はない
(4)男性は「前立腺肥大」が影響している場合が多い
答えは次ページ
答えと解説
正解(間違っているもの)は、(3)過活動膀胱を抑える薬はないです。
日本排尿機能学会の調査によると、40歳以上の日本人で「過活動膀胱」の疑いのある人は1000万人を超えると考えられます。過活動膀胱は、膀胱に尿を十分にためられなくなる病気で、そのために急に強い尿意を感じたり(尿意切迫感)、トイレまで我慢できずに尿が漏れてしまったり(切迫性尿失禁)、頻尿の症状が出たりします。
膀胱は、腎臓で作られた尿を一時的にためておくための器官です。腎臓で作られた尿は、尿管を通って、膀胱へと送られます。膀胱内にある程度の尿がたまると、尿道を通って体外に排出されます。
通常は、膀胱に尿が200~300mLたまってくると、膀胱から脊髄の神経を通じて排尿の信号が送られ、尿意が起こります。膀胱が健康な状態なら、尿は400mL程度までためることができます。ところが、過活動膀胱になるとそこまで尿がためられず、200~300mLで我慢できないくらいの最大尿意に達してしまいます。
尿が出る仕組みと膀胱の働き

過活動膀胱は、その原因により、大きく2つに分けられます。1つは、神経の障害によって起こる「神経因性」。もう1つは、神経障害はなく起こる「非神経因性」です。
神経因性の場合は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳障害、脊髄損傷や多発性硬化症などの脊髄障害の後遺症などが原因となります。
非神経因性の場合は、原因が明らかでないケースがほとんどです。その要因にはまず、加齢が挙げられます。さらに、男性の場合は「前立腺肥大」、女性の場合は「骨盤底筋群の衰え」が影響していることが多いようです。
過活動膀胱で薬物療法を行う場合は、抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体作動薬(β3作動薬)を処方されるのが一般的です。
抗コリン薬は、排尿時の膀胱の収縮に関わるアセチルコリンという物質の働きを抑制することで、膀胱の収縮を抑えて、尿をためられるようにします。β3作動薬は、蓄尿時の膀胱の弛緩(しかん)に関わるβ3アドレナリン受容体に働きかけます。膀胱の筋肉を緩めて広げることで、尿をためる機能を高めて、尿道括約筋を締める作用があります。
[日経Gooday2022年3月7日付記事を再構成]
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