酒の前に牛乳やヨーグルト 酔いにくくなるって本当?

この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)多少酔いが回るのが遅くなる
(2)酔いやすさは変わらない
(3)むしろ酔いが回るのが早くなる
答えは次ページ
答えと解説
正解は、(1)多少酔いが回るのが遅くなるです。
お酒を飲む前に牛乳やヨーグルトを飲んでおくと、胃に膜ができて吸収が遅くなる、という話を聞いたことがあるかもしれません。吸収が遅くなれば酔いにくくなり、いつもよりお酒が多く飲める、と思うかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか。
東海大学医学部内科学系消化器内科学領域主任教授の鈴木秀和さんは、「アルコールは腸だけでなく、胃からも吸収されます。空腹状態でアルコールを飲むと、すぐに胃から吸収されてしまうので酔いが回りやすいのですが、先に牛乳などを飲んで胃の粘液層に牛乳やヨーグルトをべたっと貼り付けておくと、アルコールの胃からの吸収が妨げられるので多少酔いが回るのが遅くなります」と解説します。
酔いが回るのが少し遅くなるのであれば、結果として普段より多くお酒を飲めるかもしれません。しかし、そのような飲み方は健康的と言えるでしょうか。
「胃からのアルコール吸収を妨げても、その後で腸から全て吸収されてしまいます。体に入るアルコール量を減らすわけではないので、たくさん飲めるようになることがいいとはいえません」(鈴木さん)
一方で、牛乳がアルコールから胃を守る効果はあるのでしょうか。
鈴木さんによると、「多少はそういう効果があるかもしれませんが、アルコールで胃が荒れるのは原液くらいに濃いアルコールを飲んだときです。そんなに濃いものを飲めば、胃より先に食道に炎症を起こしてしまいます」とのことです。
鈴木さんは、胃の働きの観点からも、アルコール量は少なめに抑えるのがお勧めだと話します。「少量であれば、胃酸の分泌や胃腸の運動を促進するなど胃の働きを活性化させます。しかし、ガバガバと大量に飲めば、かえって胃の動きが悪くなり食欲が落ちてしまいます。そうもいかないという方もいるとは思いますが、健康的にお酒を楽しみたいなら、食前にビール1杯程度で終わりにするのがいいでしょう」(鈴木さん)。
[日経Gooday2021年11月24日付記事を再構成]
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