γ-GTPやALTが異常値のとき 胆道がんの可能性も?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)多くは無症状のまま進行する
(2)血液検査でγ-GTPやALTが異常値になったときは胆道がんの可能性もある
(3)5年生存率は膵臓がんよりも低い
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答えと解説
正解(間違っている説明)は、(3)5年生存率は膵臓がんよりも低いです。
脂肪の消化を促す消化液である胆汁の通り道のことを、胆道と言います。胆汁は肝臓で作られた後、胆管を通って胆のうに運ばれ、そこで濃縮・蓄積されています。さらに胆管は膵臓を貫くように走り、十二指腸につながっています。この胆管と胆のうの総称が胆道であり、そこにできるのが胆道がんです(図1)。
図1 胆道は、胆管と胆のうを合わせた「胆汁の通り道」

胆道がんは、胆管にできる「胆管がん」、胆のうにできる「胆のうがん」、胆管の末端で、十二指腸乳頭部に接する部分にできる「十二指腸乳頭部がん」の3つに大きく分けられます。胆管がんはさらに、肝内胆管がん(肝臓の中を通る胆管にできるがん)と肝外胆管がん(肝臓の外にある胆管にできるがん)に分かれます。特に頻度が高いのが胆管がんと胆のうがんです。この2つのがんは、多くの場合無症状のまま進みます。
「胆道がんの多くは、症状に気づいて受診して見つかることがほとんどないと考えたほうがいいでしょう。発見時に既に大きくなっていることが多く、治療成績も良くないのです。胆道がんの5年生存率は膵臓がんに次いで低く、胆のうがんは約3割、肝内胆管がんは約2割です」と、順天堂大学医学部附属順天堂医院肝・胆・膵外科教授の齋浦明夫氏は話します。
胆道がんの多くは無症状で進む
胆道がんの多くは無症状で進むので、定期的な健康診断が重要です。「腹部エコー(超音波)の検査を行うと、がんが胆管を詰まらせて拡張した様子が見えることがあります。ただし、BMI(体格指数)が高く肥満傾向の人は、胆道がんがあっても脂肪のせいで見えにくいことがあります。肝内胆管がんも、やはり少々遠く、がんが見つかりにくい傾向です」と齋浦氏は話します。そこで気をつけておきたいのが、血液検査の肝機能の項目です。「胆道系酵素と呼ばれるγ-GTPやALTなどが異常値になったときは要注意です」(齋浦氏)。
γ-GTPやALTはお酒を飲み過ぎると変動しやすい検査値です。そのため、異常値になっても「飲み過ぎたせいだろう」と安易に片づけてしまうケースもありますが、「γ-GTPが少し上昇したときに再検査を受けておけば、比較的早くがんが見つかることがあります。血液検査の肝機能項目が高値のときは軽視せず、必ず医療機関で画像検査を受けてください」と齋浦氏は呼びかけています。
なお、胆のうがんの患者は胆石を合併していることが多いことが分かっています。胆石と胆のうがんの関係について、齋浦氏はこう話します。「胆石はよくある病気で、胆石があると胆のうがんになりやすいという説もありますが、胆石を持つ人の中で胆のうがんを発症する人の割合がそこまで高いわけではありません。胆石があるからといって、胆道がん予防のために手術で胆のうを取り除くことが推奨されるほどではないのです。ただし、発がんリスクの程度にもよるので、胆のうがんが疑われるときは、検査と治療を兼ねて胆のうを切除することもあります」。
[日経Gooday2022年5月16日付記事を再構成]
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