睡眠時間が一番短いのは30代? 40代? 50代?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)30代
(2)40代
(3)50代
(4)60代
(5)70代以上
答えは次ページ
答えと解説
正解は、(3)50代です。
「日本人の睡眠時間は短い」というのはよく指摘されている事実です。実際、OECD(経済協力開発機構)が2018年に行った調査では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、加盟33カ国の中で最も短いという結果になりました。
「令和元年国民健康・栄養調査」によると、成人の男女ともに約4割(男性の37.5%、女性の40.6%)が6時間未満しか眠っていません。年代別に見ると、最も睡眠時間が短いのは50代で、実に半数の人(男性の49.4%、女性の53.1%)が6時間を切っていることが分かります(図1)。
図1 日本人の年代別平均睡眠時間

必要な睡眠時間には個人差があるとはいえ、「6時間未満というのは明らかに睡眠が足りていません」と、青山・表参道睡眠ストレスクリニック院長の中村真樹氏は指摘します。
米国の国立睡眠財団は、18~64歳の成人に「7~9時間」の睡眠時間を推奨しています。一般に年齢が高くなるほど睡眠時間が少なくなりますが、それでも65歳以上の高齢者にも「7~8時間」の睡眠時間を推奨しています[注1]。この数字はしっかりしたエビデンスに基づくもので、これより少ないと健康面に悪影響があることが分かっているのです。

短時間睡眠が続くと、体はある程度慣れて眠気を感じにくくなっていくものの、脳は適応できず、どんどんダメージがたまっていくという研究結果も報告されています[注2]。中村氏によると、良好な睡眠には量(睡眠時間)、質(安定した眠り)、タイミング(適切な時間・規則正しさ)の3つがそろっていることが重要です。いくら質の良い睡眠を取っても、少ない量をカバーすることはできません。
「本当に睡眠時間が足りていれば、朝、目覚ましなしでスッと目が覚めているはず」と中村氏は話します。今のあなたは知らず知らずのうちに睡眠不足というハンディを背負っている状態で、しっかり眠ればもっと能力を発揮できるのかもしれません。
[注1]Hirshkowitz M, et al. Sleep Health. 2015;1(1):40-3.
[注2]Van Dongen HPA, et al. Sleep. 2003;26(2):117-26.
[日経Gooday2022年10月11日付記事を再構成]
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