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気になる体臭、皮膚からガス発生 ミドル脂臭や疲労臭

NIKKEI STYLE

仕事やプライベートで人に会うとき気になる体のにおい。その正体は主に皮膚から漂うガスだという。疲労やストレスがにおいを強くする場合もある。体臭につながる「皮膚ガス」の種類と対策を知っておこう。

においをどう感じるかは主観的な部分が大きく、客観的に評価するのは難しい面もある。ただ皮膚ガスの種類によって、においに表れやすい傾向の違いはあるという。

皮膚ガスを研究する東海大学の関根嘉香教授は「皮膚ガスが発生する仕組みは3通りある」と説明する。

まずは「表面反応由来」。皮膚の表面にすむ常在菌の作用で体から分泌される汗の成分や皮脂が分解・酸化されて生じる。例えば30~40歳代の男性に多いいわゆる「ミドル脂臭」が挙げられる。汗に含まれる乳酸の代謝によって発生する「ジアセチル」と皮脂の成分が混ざり合い、古びた油のようなにおいがする。主に後頭部から出てくる。

男女ともに40~50歳代で目立ってくるのが「加齢臭」。年齢を重ねると皮脂が酸化されてできる成分「2―ノネナール」が増え、枯れ草や古本に似たにおいがするようになる。主に頭部や耳の周辺、背中や胸、おなかなど体の中心部から出てくる。

次に「汗腺由来」。汗に含まれる酢酸などの成分が原因で、汗をかいたときに酸っぱいにおいがする。

血液中に流れている化学物質が揮発して、皮膚表面から染み出してくる「血液由来」もある。疲労やストレスが重なって血液中のアンモニア濃度が上昇し、皮膚から漂う「疲労臭」が知られている。アルコールを飲んだり、ニンニクを食べたりした後に発するにおいも血液由来になる。

渋谷スクランブル皮膚科(東京・渋谷)の下方征院長は「におい対策では汗のケアが大切」と話す。主に体温調節のためにかく汗は全身のエクリン汗腺から分泌される。汗腺がしっかり機能していれば、血液に含まれるミネラルやアンモニアなどの成分をろ過して再吸収し、水に近いサラサラの汗がつくられる。

しかし汗腺の機能が衰えると、再吸収がうまくいかず、成分が多く残るベタベタの汗になり、においが発生しやすくなる。「汗をかきにくい時期には入浴や適度な運動で汗腺の機能を高め、サラサラの汗をかけるように心がけるとよい」(下方院長)

汗はこまめに拭き取り、入浴時はせっけん・シャンプーで汗や皮脂を洗い流す。皮脂を落としすぎないようにやさしく洗いたい。消臭効果のある肌着や制汗剤を使用する手もある。下方院長は雑菌の繁殖を防ぐミョウバンや汗の量を減らす塩化アルミニウム入りの制汗剤を薦める。

体臭に関する著書がある桐村里紗医師は「腸内環境の乱れも、腸に炎症が起きて体の酸化が進みやすく、体臭につながる。食事は(様々な食材の頭文字を並べた)『まごわやさしいこ』を基本にしつつ、発酵食品もとるようにしてほしい」と助言する。関根教授は「肉などのたんぱく質のとりすぎは血中のアンモニア濃度を高めてしまい、疲労臭を発生させる原因になりうる」と警鐘を鳴らす。

ストレスや疲労を軽減するのも大切だ。桐村医師は「音楽や好きな香りなど自分なりのリラックス法を日常的に実践し、十分な睡眠もとるようにしたい」と語る。

わきの汗のにおいが改善しない場合は「腋臭(えきしゅう)症(ワキガ)」かもしれない。「わきや耳の中などに多い『アポクリン汗腺』からの汗の過剰分泌による。体質が影響する」(下方院長)。マイクロ波を照射して汗腺の発汗機能を停止する「ミラドライ」といった治療法がある。心当たりがあれば皮膚科に相談したい。

(ライター 田村 知子)

[NIKKEI プラス1 2022年2月12日付]

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