重症アレルギーの原因9割はダニ、掃除だけでは不十分
「喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の人は検査でチリダニが主犯と分かっても、単に布団に掃除機をかけるだけなど、従来、対策が不十分だった。薬物療法で治らない人はダニ相検査を受け、畳を防ダニ畳やフローリングに変えるなど、本当にダニの多い場所に対策を打つことが重要」と中山皮膚科クリニックの中山秀夫院長。

ダニ相検査とは、アレルギー患者の自宅で20カ所程度のゴミを掃除機で採取してダニの多い場所を調べ、住環境の改善を図るための検査だ。中山院長の薦めでダニ相検査を受け、寝具を高密度繊維の防ダニ布団に替え、カーペットをやめるなど環境改善した結果、薬だけでは治らなかったアトピー性皮膚炎の8割が劇的に改善したという。


中山院長らの調査でダニの多い場所はカーペット、畳、畳床(畳の中)、布張りのソファ(図3)。布団ばかりではないのだ。

ダニ相検査会社ペストマネジメントラボの高岡正敏社長は、「ダニ相は各家庭で異なり、ベッドマット、チャイルドシート、タンスから大量のチリダニが検出されたケースも。ダニを減らすには、換気と掃除をこまめに行い、着ない衣類は捨てる、長期収納する布団や衣類は乾燥剤と一緒に密封、年末と梅雨明け後に大掃除をするのが基本。だが、やみくもなダニ対策では大変なだけで、症状は改善しないということになりかねない。各家庭の状況に合った対策が重要」と話す。
ちなみに換気が大切なのはダニの好む湿気を減らすためだ。

ダニ相検査には保険が使えない。ペストマネジメントラボの場合、東京23区内で3万6750円(23区外は交通費加算)だ。「自分の家に合った対処法が分かったほうが環境改善費用は抑えられ、症状改善度も高まることが多い。ダニ相検査は、ゴミ採取から対策指導まで責任を持って行う機関で受けてほしい」と同社の高岡社長。
チリダニの増殖はそれを餌にするツメダニによる虫刺症につながる。アレルギー患者がいなくても掃除や換気、年末の大掃除などのダニ対策は必須だ。
この人たちに聞きました

中山皮膚科クリニック院長。皮膚科・アレルギー科専門医。東京都済生会中央病院皮膚科部長を経て95年より現職。元日本皮膚アレルギー学会理事。

ペストマネジメントラボ社長。医学博士。埼玉県衛生研究所企画担当室室長などを経て08年より現職。ダニの研究者として中山院長らと共同研究を実施。
(ライター 福島安紀)
[日経ヘルス2014年1月号の記事を基に再構成]
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