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じんましん、どう対処? 1日後改善しないなら病院に

NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!

【問題】じんましんが出たときの対処法として、次のうち間違っているものをお選びください。

(1)膨疹やかゆみのある部位を温める
(2)花粉症の治療薬として用いられる「抗ヒスタミン薬」を服用する
(3)息苦さを伴うときは救急車を呼ぶなどする

答えは次ページ

答えと解説

正解(じんましんの対処法として間違っているもの)は、(1)膨疹やかゆみのある部位を温めるです。一般的に、じんましんによる膨疹とかゆみは、体が温まると強まる傾向があります。

じんましんは、一生のうちに1度以上経験する人が5~10人に1人いるというありふれた病気の一つですが、この病気について正しく理解している人は多くないかもしれません。

じんましんの特徴の一つは、「皮膚がプクッと赤く膨れ、それが24時間以内に跡形もなく消失すること」です。

横浜市立大学附属病院皮膚科の猪又直子准教授は「じんましんによる発疹は、皮膚が蚊に刺されたときのように赤く膨れ、かゆみを伴います。小さなものは小豆大ですが、より大きな発疹が複数重なって地図のように広がることもあります。しかし、基本的には数時間で、長くても1日以内に"跡形もなく"消えてしまいます。こうした経過をたどる発疹は、じんましん以外にありません」と解説します。

逆に1日たっても症状が改善しない場合はじんましんではない可能性もあるので皮膚科で相談しましょう。

皮膚の肥満細胞からヒスタミンが放出されて発症

発症原因が多様なことも、じんましんの特徴です。衣服のこすれた部分やベルトで圧迫された部分が赤く膨れる「物理性じんましん」、汗をかくと現れる「コリン性じんましん」、特定の食物や医薬品が原因の「アレルギー性じんましん」などは、原因が特定できる「刺激誘発型のじんましん」と呼ばれますが、原因が特定できない「特発性のじんましん」もあります。

図1 主なじんましんの種類

原因はさまざまでも、多くの場合、その発症メカニズムは、皮膚の免疫細胞の一種である肥満細胞からヒスタミンという物質が放出されることです。その作用により血管から血液の血漿(けっしょう)成分が漏れ出し、皮膚の組織が「水びたし」の状態になり膨れます。医師は皮膚の表面で起こるのを膨疹(ぼうしん)、少し深い部分で起こるのを血管性浮腫と呼びますが、症状によっては治療が変わらないため診断では区別しないことも多いようです。

呼吸器症状や循環器症状を伴うときは救急車などの対応を

じんましんが命に関わることは少なく、大抵の場合時間がたてば消失しますが、なかには注意したい症状があります。

猪又准教授は「顔にできた血管性浮腫が唇、口腔内などに広がると気道の粘膜が腫れて気道を塞ぎ、呼吸できない状態になることがある」と警鐘を鳴らします。顔に「じんましん」ができ息苦しい状態が起こったときは、救急車を呼ぶなど対応が必要です。

また、体に広範囲の膨疹ができた場合には、「アナフィラキシー」という命に関わるアレルギー反応に関連する症状のことがあります。呼吸器症状(息が苦しい)、循環器症状(脈が触れにくい、不規則〔血圧低下、不整脈〕)、意識障害(ボーっとして気絶しそうになる)が出ているときも救急車などの対応が必要です。

危険なじんましんではない場合は、落ち着いて様子を見ましょう。膨疹とかゆみは体が温まると強まることから、体に当てる冷却パッドを使うのも一策です。また、花粉症の治療薬として用いられる抗ヒスタミン薬(市販薬ならアレグラ、アレジオン、クラリチンなど)を常備薬としているなら服用すると早く治る可能性があります。

よくじんましんが起こる場合は、まずは原因となる刺激に合わせた対処が予防につながります。皮膚科では、患者の訴えを基に原因を特定する検査を行い、原因となる食べ物を控えたり、症状を悪化させる可能性のある医薬品(痛み止め)を避けることなどをアドバイスしてくれます。

この記事は、「『じんましん』の治療あきらめないで 重症例に効く薬も登場」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/20/060500006/051300020/(荒川直樹=科学ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年8月23日付記事を再構成]

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