1日は24時間 では日本人の「体内時計」は何時間?

この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)23時間50分
(2)24時間
(3)24時間10分
(4)24時間30分
(5)25時間
答えは次ページ
答えと解説
正解は、(3)24時間10分です。
私たちの体は、夜が更けてくると眠気を感じて、やがて眠りにつきます。この一連の睡眠のサイクルは「体内時計」によって支配されています。夜になってメラトニンが分泌されて眠くなったり、朝になり副腎皮質ホルモンが分泌されて目が覚めるのも、体内時計の作用によるものです。
人間の体内時計は「24時間よりも少し長い」という話は広く知られています。かつて25時間程度と思われていたこともありましたが、最新の研究からそこまで長くないことが分かってきました。
睡眠研究のエキスパート・秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座教授の三島和夫さんは、「日本人の場合、体内時計は平均24時間10分です。注意してほしいのは、これはあくまでも平均値で、それより長い人もいれば短い人もいるということです」と話します。
三島さんによると、健康な人の場合、体内時計が長い人でも24時間30分程度で、これでもすごい夜型になってしまうそうです。体内時計が24時間よりも長いと、次の日に眠くなる時間は徐々に後にずれていきます。このようにして放っておくと夜型にシフトしてしまうわけです。一方で、中には24時間より短い人もいて、この場合は極端な朝型になってしまいます。
一方、社会は1日24時間で動いています。そのため体内時計のズレが大きい人ほど、社会生活で苦労することになります。いくら体が疲れていても深夜まで眠くならず、連日遅刻を繰り返してしまう人がいますが、それは体内時計が超夜型であることが多いのです。夜型の人に早起きはつらいし、逆に極端に朝型の人に夜勤はきつくなります。三島さんによると、「約3割の人は夜型に分類される」と話します。
夜型の人は就寝時刻が遅くなりますが、朝は定時に出社しなければならないので睡眠不足になりやすいのです。そして、休日になると睡眠不足解消のため、昼過ぎまで寝坊してしまいがちです。その結果、体内時計がさらに乱れ、ますます早寝早起きが難しくなるという悪循環に陥ってしまいます。
体内時計を調整するのは「光」です。強い光には覚醒作用がありますが、「起きたら朝日を浴びるといい」と言われる理由はそれだけではありません。午前中に太陽光(強い光)を見ると体内時計は朝型にシフトするのです。
私たちは知らず知らずのうちに太陽を利用して、規則正しい生活サイクルを実現していたわけです。体内時計の周期は必要睡眠時間と同じく生まれつき決まっていますが、光をうまく利用することで朝型の生活に適応することは可能です。
[日経Gooday2020年3月23日付記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。