朝の「唇アイロン」 ほうれい線消え、おでこきれいに

ほうれい線のケアをしてもなかなか薄くならないのは、表情筋の土台である「唇」の筋力の弱さが一因とわかりました。ストローで吸うように唇を「ほ」の形で締めるだけで、顔にアイロンをかけたかのようにほうれい線が薄くなります。
ほうれい線は、頬の皮膚や筋肉を手や美顔器などで持ち上げれば解決すると思っていない?「頬を手で押し上げたりしても、余分な脂肪が上に移動して皮膚がよれるだけ。その形がクセになると、脂肪が頬に集まって重くなり、重力で下がってくる。結果、頬がたるみ、ほうれい線が目立つようになっていく」と、パーソナル・フェイストレーナーの木村祐介さんは話す。
「重力に逆らい、ほうれい線を消すためには、顔の土台である唇の筋肉を鍛えることが不可欠」と木村さんは指摘する。「唇を締めると、凸凹(でこぼこ)した脂肪がアイロンがけをしたかのようになだらかになり、皮膚が骨にフィットしてきれいなハリが出る」(木村さん)。これを「唇アイロン」と木村さんは表現する。

唇アイロンは「表情筋のヨコ使い」によるクセのリセットにも有効だ。唇を締め、常にハリのある状態をキープできるようになれば、「自然とほうれい線もできにくくなる」と木村さんは太鼓判を押す。毎日習慣化すれば、1週間程度で顔が引き締まってくる。まずは朝のスキンケア時に組み入れて日課にしてしまおう。朝に行えばその日1日、表情筋を正しく動かせる。


唇を締め、ほうれい線がなくなるように皮膚を伸ばす。スキンケアのときや通勤中などこまめに行って、顔に"よいクセ"をつけよう。
唇を「ほ」の形にしてぐっと締め、口を縦に伸ばしながら下に引っ張る。目尻と唇を引き合うイメージで、ほうれい線をアイロンをかけたように伸ばそう。
唇を「ほ」の形にしたときに、ほうれい線がなくなっていればOK。まだ目立つならもっと強く唇を締めよう。
上下の歯が触れると顔の筋肉や皮膚が横に動くため、逆にほうれい線が目立つ。舌を引き込むことで、ほうれい線が薄くなる。

【朝の唇アイロン】朝の「ほ」の口で「シワ」と「たるみ」を消す
STEP1【下半顔】口角のシワと二重あごを消す
ほうれい線だけでなく口角からあごにかけての線(マリオネットライン)など、下半顔のシワやたるみを朝の唇アイロンで伸ばそう。毎朝のスキンケアをしながら唇アイコンをしてみると続けられるはず。
「ほうれい線や唇のすぐ横にできるマリオネットラインは、筋力の低下によって支えきれなくなった皮下脂肪が下垂することで生じる。特に猫背など悪い姿勢を続けると下あごまわりの筋肉や皮膚のハリがゆるみ、ダムが崩壊するように脂肪が顔の下へとたれ下がってくる」と木村さんはいう。
これを防ぐのに有効なのが上の「口角のシワと二重あごを消す」朝の唇アイロン。唇を「ほ」の形にしてしっかり締めながら、アイロンをかけるときのように、手のひらでほうれい線や口角の横のシワを伸ばす。
「これだけで、下あごからデコルテまで広範囲に広がる広頸筋(こうけいきん)にアプローチできるため、二重あごの改善にもつながる。また、上唇と口角を下方に引く口角下制筋にも働きかけるため、口角を支える力が強くなるという効果も」(木村さん)
続けることで、顔の印象がぐんとシャープに。

口元のたるみは老けて見えるだけでなく、不機嫌そうな印象を与えやすい。ピンと引き上げることで好感度もアップ!
顔の脂肪が垂れ下がるのを防ぐ働きを持つ広頸筋と、口角を下げる口角下制筋の両方に働く。
(1)あごを少し上げる。
(2)頬に手のひらで圧をかける。
(3)そのまま唇を「ほ」の形に締めて5秒キープ。これを5回行う。
STEP2【上半顔】おでこのシワ、まぶたのたるみを消す
ほうれい線はもちろん、頬やまぶたのたるみ、おでこのシワまで一挙解決! おでこと唇で縦方向に引っ張り合い、筋肉や皮膚をしっかり伸ばそう。脂肪の凹凸もなだらかになる。
簡単で、しかも顔全体の引き締めに効果抜群なのが上の「おでこのシワ、まぶたのたるみを消す」朝の唇アイロン。おでこを手のひらで押さえて引き上げながら、「ほ」の形に締めた唇と上下に引っ張り合うだけ。
「ほうれい線がすぐに伸びるのはもちろん、おでこと首の間にある表情筋すべてに一度に働きかけることができる」(木村さん)。続けることで、頬のたるみが引き上がる、まぶたの重さが取れて目を開けやすくなる、おでこのシワが目立たなくなるなど多くの効果が期待できるそう。
おでこにのせた手は、アイロンをかける手と同じ。唇を締めていると片手で布を押さえた状態だから筋肉や皮膚がピーンと縦方向に伸びる。この感覚を常に意識するとシワやたるみを作る表情グセも自然と改善していく。
「目の下のたるみやシワが気になる場合は、この状態のままでまぶたを開けたり閉じたりするのをプラスしてもいい」(木村さん)


おでこを引き上げながら唇を締めることで、縦方向への負荷を高める。シワやたるみのもとになる、口の横開きのクセもこれで解消!
おでこからあごまで縦方向に伸ばすことで、「眼輪筋や頬骨筋など上半顔に主要な筋肉を同時にすべて鍛えることができる」(木村さん)。
両手でおでこを押さえると、筋肉への負荷がアップ。続けることでおでこの横ジワも改善しやすくなる。
(1)おでこを上に引っ張り上げるように手のひらに圧をかける。
(2)唇を「ほ」の形に締め唇を下へ引っ張る。
【顔悩み別 唇アイロン】
顔の脂肪を支えて引き締める ほうれい線を一生予防!
これで効くの?と思うほど簡単なのに、劇的な効果があるのがリガメント(靱帯)にアプローチする、顔悩み別唇アイロン。凝りをほぐして、根本からほうれい線をできにくくする。
「加齢によるほうれい線や顔たるみを防ぐには、顔の筋肉とともに、脂肪を支えるリガメントへのアプローチも欠かせない」と木村さん。
顔の骨と表情筋や皮膚をつなぎ留めるリガメントは下記のイラストに示したとおり、顔の数カ所に存在している。

「リガメントがある部分は頑丈なのでたるみにくい構造といえるが、リガメントがない部分の脂肪が落ちると、リガメントの上に下がってきた皮膚が乗って、ほうれい線のようなくっきりしたシワになる」(木村さん)
そこで有効なのが、特にほうれい線に影響しやすい「眼窩(がんか)下」「頬骨」「咬筋(こうきん)」のリガメントを指で押さえながら、唇をすぼめて引っ張る「悩み別唇アイロン」。
「リガメントを押さえて表情筋を使うことで、余分な脂肪が落ちてくるのを防ぐことができる。各パーツを5回程度、毎日繰り返すことでハリのある引き締まった顔になれる」(木村さん)。

目の下の部分は日常の動作ではほぼ動かすことが無いので、筋力が弱く、脂肪がたまって、たるみがち。この方法でたるみをとろう。
左右の目の下の骨部分を、人さし指の側面で押さえる。そのまま唇を「ほ」の形に締める。

頬まわりを支える靱帯を鍛えると、頬の筋肉がきゅっと持ち上がり、たるたるのブルドッグ頬も解消!
頬骨の一番高いところを手のひらで押さえ、唇を「ほ」の形にして締める。手は上へと引っ張るように圧をかける。

片方の歯でばかりかんでいたりして顔に左右差がある人は、左右差解消に取り入れたい。大顔やむくみ解消にも。
奥歯を噛みしめたときにポコッと盛り上がるエラ前の筋肉を人さし指と中指の腹で押さえる。そのまま口を「ほ」の形に締める。
皮膚をギュッと持ち上げるとシワが寄るのでNG。指で押すときは筋肉に垂直に圧をかけ、縦方向の動きを常に意識しよう。
教えてくれたのは

(取材・文 やまきひろみ、写真 稲垣純也、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 依田陽子、モデル MIKA、イラスト 三弓素青)
[日経ヘルス 2018年12月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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