このラーメンは太りにくい ダイエット中も安心レシピ

麺だけのラーメンは糖質の塊。そのまま食べると、血糖値が急上昇し、肥満につながる。スープには脂肪やむくみの原因の塩分も多い。でも「食べたいけれど太るから」と糖質を控えてきた人に朗報! 糖質を取っても太りにくい食べ方がある。ダイエットの「敵」とされがちなラーメンもOKの、「我慢せず太りにくい」食べ方を、管理栄養士の菊池真由子さんが解説。フードディレクターの熊谷有真さん考案のレシピとともに紹介します。
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ダイエット中でもラーメンは食べてOK。でもそのまま食べるのはキケン!
糖質制限の流行で麺類は敬遠されがちだが、「糖質は脳のエネルギー源で一定量取らないと元気が出ず、ダイエットも続きません」と話すのは菊池さん。食事の満足感を得るためにも糖質は必須で、食べたほうが過剰な食欲が消え、やせやすくなるという。ただし、糖質を取ると血糖値が急上昇し、それを下げようとインスリンが分泌される。「インスリンには脂肪を蓄える作用があり、過剰に分泌されると肥満を招くので、糖質の取り方には工夫が必要です」。
具たっぷりにして栄養強化すると、むしろやせやすくなります
ではラーメンの麺などの糖質はどう取るといいのか? 「糖質と一緒に取ってほしいのが食物繊維。消化に時間がかかり、血糖値上昇の速度を緩やかにしてくれます」。さらに、たんぱく質やビタミンB群は食事で取ったカロリーを体にため込まず、熱エネルギーに変えてくれる働きがある。「これらの栄養素を具としてしっかり取ることで、体がよく動き、食べたものがよく燃え、間食や暴食をしたくならない健康的なやせ体質が目指せます」。
きれいに「やせる」ために、ラーメンの具として積極的に取り入れたい栄養素
【ビタミンB群】食事で取ったカロリーの燃焼を促進する
ビタミンB群には糖質や脂質を上手に体温やエネルギーに変えてくれる働きがある。ビタミンB群は肉や卵に多いが、魚介類や大豆製品には少なめ。魚介類などでたんぱく質を取るなら、ビタミンB群が多い卵やキノコ類も一緒に。
【カロテノイド】美肌やアンチエイジング効果あり
緑黄色野菜に多いβカロテンやリコピンは、抗酸化作用があり、美肌や老化防止に必須の栄養素。ダイエット時のやつれ感も防いでくれる。緑黄色野菜や食物繊維類は、合わせて両手1杯分(生の状態で)を1食の目安にして。
【たんぱく質】摂取したカロリーを熱エネルギーに変える
たんぱく質をしっかり取ると、一緒に取った糖質や脂質のカロリーが燃え、体にため込まれにくくなる。肉や魚介類、卵、大豆製品に豊富に含まれる。1食で取りたい高たんぱく食材は100~120g。豚ロースなら3~4枚が目安。
【食物繊維】糖の吸収を穏やかにし、満腹感も出る
野菜、キノコ、海藻などに多く含まれる食物繊維には、糖質や脂質を小腸でからめとり、吸収しにくくする働きがある。また、食物繊維が多い食材は、噛(か)む回数が自然に増える上、胃に長くとどまり、満腹感を得やすいメリットも。
さらにこれらをプラスすると相乗効果あり
【ニンニク】
ニンニクの匂い成分「アリシン」は、糖質を分解するビタミンB1の働きを高める。刺激が強いので1日1かけまでに。
【ショウガ】
ショウガの辛み成分「ジンゲロン」には体を温めてエネルギー代謝を高め、脂肪燃焼を促進する働きがある。
ノンフライ麺を選ぶとカロリーを抑えられる
袋麺には油で揚げたフライ麺とノンフライ麺があり、ノンフライ麺のほうが100kcal程度低い傾向(1食300~350kcal程度)。
<具たっぷり、栄養&満足感抜群 袋麺アレンジ6>
鶏とパクチーのベトナム風ラーメン【塩ベース】

高たんぱく低脂肪の鶏ささ身と切り干し大根で食べ応え十分
<材料 (1人分)>
袋麺(塩味) 1袋
水 500ml
鶏ささ身 2本(約100g)
ゆで卵 1/2個
切り干し大根 10g
モヤシ 50g
レモン汁 小さじ2
パクチー 20g
ミニトマト 3個
<作り方>
1 鍋に水を入れて沸かす(あれば長ネギの青い部分とショウガの皮を入れると鶏肉の臭み消しになる)。沸騰したら鶏ささ身を入れ、2分煮て火を止め、そのまま6分おく。
2 1から鶏ささ身を取り出し、粗熱が取れたらほぐす。
3 沸いた湯(分量外)に麺と切り干し大根を入れ、袋の表示時間通りゆで、火を止める30秒前にモヤシを加える。火を止めたらザルに上げる。
4 器に付属のスープの素、温めた1、レモン汁を入れてさっと混ぜ、麺と切り干し大根を盛る。
5 鶏ささ身、ゆで卵、モヤシ、ザク切りにしたパクチー、輪切りにしたミニトマトをのせ、好みで黒コショウ(分量外)を振る。
鶏ささ身は糖や脂肪を燃やすたんぱく質やビタミンB群が多く、かつ低カロリー。切り干し大根には糖の吸収を抑える食物繊維、トマトとパクチーには美肌の源のカロテノイド、モヤシには塩分を排出するカリウムが豊富。
あさりとわかめの海鮮ラーメン【塩ベース】

わかめとキャベツで食物繊維、舞茸でビタミンB群をプラス
<材料 (1人分)>
袋麺(塩味) 1袋
水 450ml
あさり(殻つき) 100g
キャベツ 2枚
舞茸 50g
乾燥わかめ 5g
ニンニク 1/2片分
ショウガ 1/2片分
タカの爪 1/2本分
日本酒 50ml
柚子コショウ 適量
黒コショウ 適量
<作り方>
1 あさりは砂出ししておく。キャベツはザク切りに、舞茸は食べやすい大きさにほぐす。ニンニクはみじん切り、ショウガは千切りにする。
2 フライパンにサラダ油小さじ1(分量外)、ニンニク、タカの爪を入れて熱し、香りが出たら、あさりを入れる。日本酒を加えて強火にし、蓋をして一煮立ちさせ、あさりの殻が開いたら、アルコール分を飛ばして火を止める。
3 鍋に水を入れて沸かし、麺、キャベツ、舞茸を入れ、袋の表示時間通りゆで、火を止める直前に乾燥わかめを入れる。
4 器に付属のスープの素(2/3の量)と3と柚子コショウを入れ、さっと混ぜる。
5 2を汁ごと加え、黒コショウを振り、ショウガをのせる。
たんぱく源のあさりには肌や髪を美しくする亜鉛が多い半面、ビタミンB群はやや少なめ。そこでビタミンB群豊富な舞茸を加える。食物繊維が多く、腹持ちがいいわかめとキャベツをたっぷり添えれば、お腹も心も満たされる。
オクラと豆腐のとろっと酸辣湯麺【醤油ベース】

卵と豆腐でたんぱく質を補給、片栗粉なしでとろりスープに
<材料 (1人分)>
袋麺(醤油味) 1袋
水 450ml
オクラ 5本
キクラゲ(乾燥タイプ) 3g
トマト 1個
絹ごし豆腐 50g
卵 1個
ショウガ 1/2片分
豆板醤 小さじ1
酢 大さじ2
白コショウ 適宜
ラー油 適宜
<作り方>
1 オクラはがくを取り、さっとゆでで輪切りに。キクラゲは湯で戻し、一口大に切る。トマトはくし形に切り、ショウガは千切りにする。
2 鍋に湯(分量外)を沸かし、麺とキクラゲを入れて、袋の表示時間通りゆで、ザルに上げる。
3 鍋に水を入れて沸かし、さいの目に切った絹ごし豆腐とトマトを入れ、卵を溶いて加え、大きくかき混ぜて火を止める。
4 器に豆板醤、付属のスープの素、酢、3を入れてさっと混ぜ、2を盛る。
5 オクラとショウガをのせ、白コショウを振り、好みでラー油をかける。
肉をパスしたい日は、卵と豆腐でたんぱく質をもれなく補給。キクラゲはキノコのなかでも食物繊維の含有量がピカイチ。とろみづけを兼ねたオクラのネバネバ成分と酢には、血糖値の急上昇を防ぎ、糖の分解速度を遅くする効果が。
焦がしネギ香るチャーシュー麺【醤油ベース】

王道の具材も実は栄養優等生! 麺に絡んだエノキが脂肪を排出
<材料 (1人分)>
袋麺(醤油味) 1袋
水 500ml
ホウレン草 1/8把
長ネギ 1/2本
エノキ茸 50g
焼き豚(市販) 50g
ゆで卵 1個
ニンニク 1/2片分
ゴマ油 小さじ1
黒コショウ 適宜
<作り方>
1 沸いた湯(分量外)でホウレン草をさっと下ゆでし、水気を絞って食べやすい大きさに切る。
2 長ネギは小口切りに。エノキ茸は石づきを落とし、半分に切ってほぐしておく。ニンニクはみじん切りにする。
3 フライパンにニンニクとゴマ油を熱し、長ネギを入れ、ニンニクの香りを移すよう、じっくり炒める。
4 鍋に水を入れて沸かし、麺とエノキ茸を入れ、袋の表示時間通りゆでる。
5 器に付属のスープの素と4を入れてさっと混ぜる。焼き豚、半分に切ったゆで卵、ホウレン草、3をのせ、好みで黒コショウを振る。
たんぱく質とビタミンB群が多い豚肉、卵をニンニクと一緒に取る。さらに、エノキ茸に豊富に含まれるキノコキトサンには脂肪の吸収を抑えて排出する働きがある。カリウムが豊富な長ネギも、炒めてかさを減らせば量を取れる。
ゴマリッチな舞茸入り担々麺【味噌ベース】

必須の栄養素群に、ゴマと高菜で美パワーアップ
<材料 (1人分)>
袋麺(味噌味) 1袋
水 450ml
舞茸 50g
チンゲン菜 30g
豚ひき肉 50g
ゆで卵 1個
刻み高菜(市販) 50g
モヤシ 50g
ゴマ油 適宜
ニンニク 1/3片分
甜麺醤 大さじ1
A
│白練りゴマ 大さじ2
│白すりゴマ 大さじ3
│豆板醤 小さじ1/2
ラー油 適宜
<作り方>
1 舞茸とニンニクをみじん切りにする。チンゲン菜は大きめに切り、モヤシと一緒にさっとゆで、水気を切る。
2 フライパンにゴマ油とニンニクを入れて熱し、中火で豚ひき肉を炒める。肉の色が変わったら、舞茸と刻み高菜を入れて炒め、甜麺醤を加え、混ぜ合わせる。
3 鍋に水を入れて沸かし、麺を入れ、袋の表示時間通りにゆでたら、付属のスープの素とAを加え、よく混ぜる。
4 器に3を入れ、2、チンゲン菜、モヤシ、半分に切ったゆで卵をのせ、好みでラー油をかける。
豚肉と舞茸を炒めた肉味噌はビタミンB群の宝庫。漬物の一種である刻み高菜は乳酸菌が豊富なため、腸内環境の改善や便秘解消効果も期待できる。ゴマに多い抗酸化物質・ゴマリグナンにはアンチエイジング効果も!
豆乳とチーズのクリーミーちゃんぽん【豚骨ベース】

たっぷりの野菜に厚揚げとハムでたんぱく質を強化
<材料 (1人分)>
袋麺(豚骨味) 1袋
水 300ml
キャベツ 3枚
ニンジン 1/6本(30g)
椎茸 1個
ニラ 20g
ロースハム 50g
厚揚げ 50g
モヤシ 50g
ゴマ油 小さじ1
豆乳(調整タイプ) 200ml
クリームチーズ 15g
紅ショウガ 適宜
<作り方>
1 キャベツは大きめに切る。ニンジンは太めのせん切りにし、椎茸は石づきを取り、薄切りにする。 ニラは4cmの長さに切る。ロースハムは細切りにし、厚揚げは熱湯をかけて油抜きし、3cm角に切る。
2 鍋にゴマ油を入れて熱し、ニンジンと椎茸を入れて1分炒め、キャベツを入れてさらに炒める。ロースハム、厚揚げ、ニラ、モヤシを加え、さっと炒め合わせる。
3 2に水と付属のスープの素(2/3の量)を入れ、3分煮る。豆乳を加え、温まったらクリームチーズを入れて溶かす。
4 鍋に湯(分量外)を沸かし、麺を入れ、袋の表示時間通りにゆで、ザルに上げる。
5 器に4を盛り、3を入れ、好みで紅ショウガをのせる。
ロースハム、厚揚げ、豆乳は、高たんぱく低脂肪。特に厚揚げは食べ応えもある優等生食材。ニンジンやニラでβカロテンを補いつつ、キャベツや椎茸で食物繊維をたっぷり摂取。噛み応えがあり、満腹感を得やすい点も◎。
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もっと太りにくくなるラーメンの食べ方3つの心得
1 食べる前にコップ1杯の水を飲む
空腹感は、胃から分泌される食欲増進ホルモン「グレリン」により起きる。「グレリンの分泌は水を飲めば抑えられる。食前に1杯の水やお茶を飲むことを習慣に」。
2 具の野菜・キノコ・海藻から先に食べる
食物は腸に届いた順に吸収されるため、「食物繊維の多い具を糖質豊富な麺より先に食べれば、食物繊維の働きで消化・吸収が遅くなり、血糖値の急上昇を防げる」。
3 スープは3分の1以上残す
スープには、スープの素や具から溶け出した脂肪分と塩分が多く含まれる。「スープを飲み干さず、3分の1以上残す。これだけでカロリーも塩分も減らせる」。
この人に聞きました

(取材・文 籏智優子、写真 福知彰子、料理・レシピ考案・スタイリング 熊谷有真)
[日経ウーマン 2019年2月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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