「体感はぎっくり腰、でも実は内臓の病気」といえば…

この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)尿路結石
(2)急性腎盂腎炎
(3)胆石
正解は、(1)尿路結石です。
腰痛だと思い込むことで治療が遅れる場合も
腰痛の原因の多くは、ぎっくり腰、椎間板ヘルニア、慢性腰痛など、主に整形外科領域の病気です。しかし、ときに腰痛や背部痛(背中の痛み)が、腎臓、肝臓、胆のう、心臓やその周りの血管、膵臓など、さまざまな臓器の病気のサインとして表れることがあります。
河北総合病院 臨床教育・研修部長の林松彦さんは、腰痛を主症状として訴える内臓の病気で最も多いのは、男性の場合は尿路結石、女性の場合は急性腎盂(じんう)腎炎だと言います。
これらの病気では、腰痛との思い込みが、正しい診断と治療を遅らせることも少なくないそうです。さらに、腰痛をサインとする病気には、腎梗塞や腎臓がんなど、ときに命にかかわる病気もあります。整形外科領域の腰痛と、内臓の病気の重要な「予兆」としての腰痛を見極めることが重要なのです。
姿勢を変えても痛みが変わらない場合は要注意
林さんは「こうした内臓疾患とぎっくり腰などの整形外科の病気を見分けるのに、最も基本的なことは、痛みが姿勢によって変化するかどうかだ」とアドバイスします。
つまり「体をひねる」「かがむ」「物を持ち上げる」といった動作によって腰痛の程度が変化する場合は、腰椎やその周囲の筋肉のトラブルが原因の整形外科疾患のことが多く、これに対して姿勢を変えても痛みが変化しない場合は、内臓疾患が原因である可能性があるのです。
さらに林さんは「とるべき対処は、痛みが急に訪れたのか、慢性的なものなのかに分けて考えるとよい」と言います。姿勢によって変化しない腰痛、背部痛が突然やってきて、しかもそれが激痛であったときは、診断と治療に緊急性を有する、腎梗塞、脾梗塞、大動脈解離、心筋梗塞、胆石などが考えられます。
このうち、最も怖い病気は心筋梗塞と大動脈解離です。ともに胸や腹部の激しい痛みを訴えることは知られていますが、症状が背中から腰にかけて出ることもあります。治療は一刻を争うので、突然の激しい耐え難い痛みに加えて、息切れ、不安感などを覚えたら、すぐに救急車を呼びましょう。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2019年1月15日付記事を再構成]
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