硬直した顔筋ほぐして老化防止 ほうれい線も薄く

年齢とともに深刻度を増す「たるみ」や「シワ」も、年だから……とあきらめるのは早い! これらを悪化させる原因の一つに、「硬直した筋肉」がある。根本から改善する簡単セルフケアで、顔の「劣化」をストップしよう。
硬直した筋肉がたるみやシワの原因に
「たるみやシワをつくる一因に、加齢や長年の生活習慣による『筋肉のクセ』があります。硬く収縮した筋肉は、骨を引っ張ってゆがませ、皮膚が引っ張られて、たるみやシワを招くのです」と話すのは、独自の「村木式」美容メソッドで『ゴッドハンド』の呼び声も高い、アンチエイジングデザイナーの村木宏衣さんだ。
村木式メソッドによるセルフケアの大きな特徴が、手軽さと即効性。まずは、その驚くべきアンチエイジング効果をBefore⇒Afterの写真で比べてみてほしい。

村木さんによれば、筋肉が硬直すると、血液やリンパの流れを阻害し、肌そのものの老化も招くという。
「血液やリンパの流れが滞ると、周辺には余分な水分や老廃物がたまり、むくみます。すると筋肉の動きはさらに悪くなり、細胞には十分な酸素や栄養が行き渡らずに、新陳代謝の働きが低下。深層にある筋肉が硬直していると、こうした皮膚を支えきれず、ハリがますます失われてしまうのです」と村木さんは話す。
そこで次ページからは、村木さん自身も欠かさず行うという、フェイスラインのたるみ、ほうれい線対策ケアを紹介しよう。
顔筋をほぐせば顔がググッと引き上がる
「長年の施術経験からいえば、顔にゆがみのない人はほとんどいません。例えば、大多数の人が無意識に行う『食いしばり』のクセ。これが顔の筋肉を緊張させて顔の骨格をゆがませ、フェイスラインをたるませてしまいます」(村木さん)。
村木式セルフケアの大きな特徴が、狙った部分に圧をかけて「動きを加える」テクニック。力のない女性でも、メイクの上からでも、深層の筋肉を簡単に、効率よくほぐすことができる。
ゆがみの原因 そしゃく筋をほぐすケア
そこでまず、普段から大きな力が加わって顔をゆがませる、そしゃく筋の「咬筋(こうきん)」を効率よくほぐすセルフケアから行おう。ゆがみがとれると、フェイスラインのたるみや口角の下がりが改善される。

アプローチするのはココ
あごの関節には、固いものを食べるときで20~30kg、睡眠中の歯ぎしりでは100kgもの負荷がかかるとされる。その結果、そしゃく筋の中でも大きな「咬筋」が緊張し、顔をゆがめて口角を下げる原因に。特に咬筋の下部は硬くなりやすいため、念入りにほぐすのがポイント。

(1)咬筋に反対の親指を引っかけて固定
ほお骨の下に反対側の親指の腹を当て、口を軽く開け閉めして動く太い筋肉(=咬筋)のへりに引っかけて圧をかける。4本の指は軽く握り、人差し指の側面をエラの骨に引っかけて固定。
(2)(3)筋肉をとらえて「あぐあぐ」と口を開け閉め
両側から咬筋をはさんで親指でしっかり押さえながら、「あぐあぐ」と口を開け閉めして6セット繰り返す(声は出さなくてOK)。

ほお骨の真下~あごの上まで、親指を下にずらしながら3分割して繰り返し、反対側も同様に
表情筋をゆるめるとほうれい線が消える
「ほお骨の周辺は、特に多くの表情筋が集まっている部分。これらが衰えると、皮膚を支えきれずに垂れ下がり、ほうれい線を深くしてしまいます」と村木さん。
ブルドックのように垂れ下がってきたほおを改善したいなら、こうした筋肉をまんべんなくほぐして筋肉の弾力を取り戻し、肌の内側からふっくらリフトアップさせよう。
ほぐす・鍛える2ステップで立体的なほおに
村木さんが薦めるほうれい線対策のひとつが、ほお全体の筋肉をほぐし、豊かな表情を引き出すセルフケア。目頭から斜め下に垂れ下がる「ゴルゴライン」も改善し、立体的なほおが復活する。

アプローチするのはココ
鼻の脇にある「上唇挙筋(じょうしんきょきん)・上唇鼻翼挙筋(じょうしんびよくきょきん)」、ほお骨からつながり、口角を引き上げるときに働く「大頬骨筋(だいきょうこつきん)・小頬骨筋(しょうきょうこつきん)」の硬直をほぐし、スムーズな動きを取り戻す。

小鼻の脇に人さし指の第一関節をつけ、骨に押し当てるように2cmほど左右に5回スライドさせて、目頭に向かって下から上へ4カ所ほぐす。さらに少し外側に位置をずらしながら、目尻の方まで縦4列に分けて、下から上にまんべんなくほぐしていく。
(1)指の側面をスライドさせて筋肉をほぐす
小鼻の脇に人さし指の第一関節をつけ、骨に押し当てるように2cmほど左右に5回スライドさせてほぐす。目頭に向かって下から上に4カ所、さらに少し外に位置をずらしながら、目尻側まで縦4列、計16カ所で行う。

(2)筋肉をとらえ「えおえお」と口を動かす
人さし指と中指で小鼻の横を押さえ、指先で筋肉の動きを感じながら「えおえお」と口を大きく動かす。「え」では小鼻をふくらませて前歯をしっかり見せ、「お」では鼻の下を伸ばして、(1)と同様に16カ所で繰り返す。

お風呂の中でも、テレビを見ながらのすき間時間でも、どこでも簡単にできるのも村木式のポイント。ぜひ毎日の習慣にしよう!

(取材・文 オカモトノブコ、写真 稲垣純也、モデル MIKA、筋肉CG制作 佐藤眞一=3D人体動画制作センター、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 依田陽子)
[nikkei WOMAN Online 2018年12月5日付記事を再構成]
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