8秒お尻引き締めエクササイズ 骨盤整い便秘も解消

肛門にキュッと力を入れると、自然とお腹まわりの筋肉にも力が入るのがわかる。肛門まわりの筋肉は、お腹や背中の筋肉と連動しているため、ここを鍛えるだけで下腹がぺたんこに。おまけにお尻も引き上がる。たった8秒の「肛筋エクササイズ」を試してみよう。
◇ ◇ ◇
肛門キュッキュッ 肛筋エクササイズ(初級編)【ヒップアップ・冷え ・ むくみ解消】
整体師でトレーナーの久嬢由起子さんは、肛門まわりの筋肉に注目し「肛筋(こうきん)」と名づけた。これは、骨盤を下からお椀のように支えている骨盤底筋群を構成する筋肉でもある。肛筋が衰えると骨盤を支えきれなくなり、骨盤ゆがみの一因に。
肛筋は腹横筋や背骨につながる多裂筋に連動している。鍛えると下腹が凹み、姿勢までも整うという。
まずは肛筋を正しく使うためのエクササイズを習得しよう。ペンをお尻の割れ目に挟み、肛門をキュッと締めるだけ。「肛門を締めてといわれても、慣れないうちはお尻の外側の筋肉(大殿筋)だけを使ってしまう。肛筋を使う感覚をつかむために、ペンを挟む」と久嬢さん。
ペンを落とさないよう、力を抜かずに8秒キープ。「このとき、肛門から頭頂まで1本の糸で引っ張られるイメージを持つと、肛筋を意識しやすい」(久嬢さん)。外肛門括約筋が活性化し便秘解消も期待できる。お尻全体の筋肉を使うので下半身の冷え、むくみが解消、ヒップアップ効果も。

ペンを落とさないように意識するだけで、肛筋に力が入り鍛えられる。「ペンを落としても途中で拾い、トータルで8秒続けて」(久嬢さん)。息を止めると苦しくなり、肛筋以外の余分なところにまで力が入ってしまう。「1、2、3……」とカウントして呼吸を止めないよう気をつけながら行う。鍛えられる筋肉…肛筋・大殿筋。
あなたの「肛筋」は大丈夫? 2つのチェックポイント
下のチェックシートで1つでもあてはまれば要注意。お尻の割れ目にボールペンを挟み、肛門にキュッと力を入れる。そのままペンを落とさないよう8秒キープ。できなければ肛筋が衰えている可能性も。


腰落とし肛筋エクササイズ(中級編)【基礎代謝UP・血流改善】
肛筋エクサ中級編は、ペンをお尻に挟んだ状態で腰を落とす。「肛筋だけでなく、太ももの大腿四頭筋を鍛えることで血流を改善、足のむくみ解消にもつながる」と久嬢さん。
ひざを曲げることを意識しすぎると腰が反ってしまい、腹筋を使えない。腕を前に伸ばすと、上半身が真っすぐに伸び、バランスが取れる。「ひざの角度はこだわらなくていい。腕でバランスをとらずに姿勢を保てるようになったら腕はなくてもいい」(久嬢さん)。体幹を効率よく使えるので基礎代謝もアップする。

キツいと感じる一歩手前まで腰を落とし、息を止めずに8秒キープ。2~3を3セット行う。肛筋を意識しながら、お尻の割れ目でペンをしっかり挟んでキープ。ひざを曲げるときは、焦らずにゆっくりと行う。腰が反ってしまうと、効果は半減する。骨盤が後傾しないよう骨盤を立て、背すじを伸ばす。 鍛えられる筋肉…肛筋・大腿四頭筋・大殿筋。
エアフラフープ肛筋エクササイズ(上級編)【下腹スッキリ・便秘解消・骨盤ゆがみ解消】
ペンを挟み、肛門に力を入れながら腰を回すことで、体の中心軸に意識が向き骨盤のゆがみが解消する。「骨盤のゆがみが整うと、下垂した内臓が正しい位置に戻るので、下腹が凹む」(久嬢さん)。内臓が本来の機能を取り戻すことで、お通じがよくなり便秘も改善する。骨盤が前後・左右にゆがんでいると、腰を回しにくいと感じる場合があるが、「続けるうちにゆがみが整い、スムーズに回せるようになる」(久嬢さん)。腰を回す動きはお腹の両脇の腹斜筋も使うので、くびれも生まれる。

腰を後ろに回すとき、背中を丸めて前かがみになりやすいので注意する。背すじを真っすぐ伸ばしながら、腰を回す。上半身はなるべく動かさず、軸がぶれないように意識しながら腰だけを回そう。鍛えられる筋肉…肛筋・大殿筋・腹斜筋。
足踏み肛筋エクササイズ(超上級編1)【下腹スッキリ・腰痛改善】
お尻にペンを挟みながら、腕を振ってその場で足踏み。「足踏みをするとお尻の割れ目が開くので、ペンが落ちやすく難易度が高い。落とさないようにすることで、より肛筋が鍛えられる」と久嬢さん。軽く腕を振るので肩甲骨まわりの凝りがほぐれ、わきのリンパ節の老廃物が流れる。腕のむくみも解消。

ペンを落とさないくらい肛筋が鍛えられたら、太ももをより高く上げてみよう。足を後ろに蹴ると、肛筋を使えないのでNG。太ももを前に上げて足踏みして。 鍛えられる筋肉…大殿筋・腸腰筋・腹直筋。
お尻ふりふり肛筋エクサイズ(超上級編2)【全身引き締め】
ペンを挟みながら、犬がしっぽを振るようなイメージで、骨盤だけを左右にスライドする。骨盤を左右にスライドさせることでお腹の側部の腹斜筋を鍛え、くびれボディに導く。「立てたつま先も同時にスライドさせるとやりやすい」(久嬢さん)。ひじを伸ばして手をつくので二の腕の後ろの上腕三頭筋を使うので「振袖肉」引き締めにもつながる。

腕を真っすぐ伸ばし、わきをキュッと締めると、大胸筋が鍛えられてバストアップにも。ペンを落とさないよう意識するあまり背中が丸まると、くびれをつくる腹斜筋に効かないので注意。鍛えられる筋肉…大殿筋・腹斜筋・内転筋群。
「肛筋エクササイズ」とは

肛筋エクササイズは医療現場でも取り入れている。尿漏れ、便漏れの予防や、改善につなげるためだ。しらはた胃腸肛門クリニック横浜の白畑敦院長は「自分では肛門を締めているつもりでも、筋電図で測定すると力が入っていないくらい衰えていることも多い。ペンを使えば、ペンを落とさない状態を維持=筋肉を使えているという目安になるのでわかりやすい」という。まずは、やってみよう。



(取材・文 きいろ舎 写真 鈴木宏、モデル 久嬢由起子、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 依田陽子、図版 三弓素青、構成 羽田光=日経ヘルス編集部)
[日経ヘルス 2018年8月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。