アルコール依存予備群980万人 目安は日本酒何合?

この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)純アルコール換算で20g(日本酒なら1合)以上
(2)純アルコール換算で60g(日本酒なら3合)以上
正解は、(2)純アルコール換算で60g(日本酒なら3合)以上です。
依存症は109万人! 予備群は980万人!

アルコール依存症の人はどのくらいいるのでしょうか? 成増厚生病院東京アルコール医療総合センター長の垣渕洋一さんは、「2013年の厚生労働省研究班の調査によると、アルコール依存症者は109万人いると推計されています。そして、その予備群ともいえる多量飲酒者(ハイリスク群)は980万人いると推計されています」と言います。
では、アルコール依存症のリスクが高い予備群(ハイリスク群)に該当するのは、どのような人たちなのでしょうか。
「例えば、恒常的に酒量が多く、肝機能値(γ-GTP)が高くなっており、会社での健康診断で注意されて、一時的に飲酒を控えてγ-GTPが下がるものの、またすぐに飲酒量が増えてしまうという方です。何年にもわたってアルコール性の肝炎が続いていますが、仕事はこなしていて、家庭でも問題ないなど、目立った飲酒問題は起きてない状態です」(垣渕さん)
「依存症の一歩手前の状態ですが、今すぐ断酒しなければならない方ではありません。しかし、飲酒量を減らすための専門的な指導を受ける必要はあります」(垣渕さん)
推計980万人という数字からも分かるように、ハイリスク群の人は決して珍しい存在ではありません。垣渕さんによると、会社員の人でも普通にいるのだそうです。日々摂取しているアルコール摂取量でいうと、純アルコール換算で1日60gが一つの目安になると垣渕さんは話します。
「一般に適量が20g程度(日本酒1合、ビール中瓶1本)ということをご存じの方もいらっしゃるでしょう(日本人の男性の場合)。このレベルはローリスクです。酒量が増えるごとにリスクは上がってきますが、特に60gを超えてくると飲酒問題が起こってくるので、真剣に節酒を考えないといけないレベルになります。専門家の間でも『60gの壁』と呼ばれています。80gを超えると問題は必ず起きてきます」(垣渕さん)
純アルコールに換算して60gは日本酒でいえば3合です。今は飲酒問題を抱えておらず、体に何の影響もなくても、将来的にアルコール依存症になるリスクが高い、まさに「アルコール依存症予備群」となるのです。
自分の飲酒状態から、アルコール依存症や予備群の心配があるかどうかを簡単に確認できるテストがあります。
「まずは、WHOが掲げるAUDIT(オーディット:飲酒習慣スクリーニングテスト)か、久里浜医療センターのKAST(久里浜式アルコール依存症スクリーニングテスト)を行いましょう。診断はできませんが、飲酒問題の程度が分かります」(垣渕さん)。
ここではAUDITを紹介します。質問は全部で10個。過去1年までを対象に、普段の飲酒状況に答えるものです。

「あくまでも目安ですが、9点以下はローリスク、10~19点はハイリスク(=予備群)、20点以上はアルコール依存症を疑う、という判断となります」(垣渕さん)
予備群に該当する人は、それより上に行かないために、できることなら飲酒量を減らして、ローリスク群に入れるようにケアしておかなければならないでしょう。
[日経Gooday2018年7月16日付記事を再構成]
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