花粉症の目のかゆみ 点眼薬や人工涙液で軽減
今年こそ花粉に負けない春を 花粉症対策2018(下)

くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ……。つらい花粉症を制するには、先手を打つことが肝心。鼻にはまず点鼻薬をシュッ、そして目には点眼薬を。症状がひどくなる前から始めるのが鉄則だ。花粉症対策の最新情報を3回に分けてお伝えする。3回目は目のかゆみ対策について見ていこう。
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かゆみや涙目、目ヤニ、充血など、花粉症の時期は目もつらい。花粉の侵入によって、瞼まぶたの裏側と白目を覆っている結膜に炎症が起こった状態で、正確には「季節性アレルギー性結膜炎」と呼ばれる。
「鼻と同様、症状が出始める前からシーズン終了まで毎日、点眼薬を使い続けるのがいい」と東京女子医科大学眼科の高村悦子臨床教授。全国13医療機関で218人を対象に実施した研究によると、花粉が本格的に飛散する前から点眼薬を使い始めた初期療法群は、飛散後に使い始めた群より目のかゆみなどの症状が明らかに抑えられていた(下グラフ)。

点眼薬の主流は第二世代の抗ヒスタミン薬で、「アレジオン(一般名:エピナスチン塩酸塩)」や「パタノール(同:オロパタジン塩酸塩)」などがよく処方される。即効性もある。毎年、目の症状がひどくなる人は早めに眼科を受診しよう。
ちょっとかゆい程度の人は、市販の人工涙液を使って様子を見てもいい。「防腐剤の入っていないものを2、3滴さして、少し目をパチパチさせると、目の表面の花粉を洗い流せる。あふれ出た液は軽くティッシュで拭き取る。ドライアイの改善にもなる」と高村臨床教授。人工涙液を冷蔵庫で冷やして使うと、より効果的だという。炎症で熱を帯びた目を鎮静化させ、気分もすっきりする。冷えたおしぼりを瞼(まぶた)の上に当てるのもいい。


人工涙液による洗浄で症状を抑えられなかったり、市販の目薬を2週間使っても効果がなかったりする場合は、眼科を受診しよう。「自己判断で市販薬を使い続け、症状を悪化させる人もいる。花粉症ではなく、別の目の病気のこともあるので気をつけて」と高村臨床教授。
コンタクトレンズを使っている人は、シーズン中は眼鏡に切り替えるのが得策だ。花粉症で目ヤニなどの分泌物が増えるとレンズが汚れ、それがアレルギー反応をさらに悪化させる。「どうしても使いたいなら、使い捨てのワンデータイプに。初期療法で症状を抑えておくと、レンズも使いやすい」(高村臨床教授)。アレジオンはコンタクトを着用したままでも使用可能だ。
花粉の侵入を防ぐことも重要。花粉は主に上から降ってきて目の中に入るので、花粉対策用眼鏡はもちろん、普通の眼鏡でもかなり侵入を防げる。つばのある帽子も役立つ。

(ライター 佐田節子)
[日経ヘルス2018年3月号の記事を再構成]
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