めまい、頭痛…心療内科医が教える自律神経不調のケア

動悸(どうき)やめまい、頭痛や吐き気など、自律神経の乱れによる不調はさまざま。「どうしてこんな症状が? という不透明さに患者さんは悩んでいる」と、心療内科医の福永伴子院長。福永院長が薦める4つの自律神経ケアを心がけよう。
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自律神経の乱れによる不調は、動悸やめまい、頭痛や吐き気、暑くもないのに汗が出るなど、多岐にわたる。「耳鼻科や頭痛外来を受診したけれど『特に異常はない。おそらくストレスが原因でしょう』と言われた、と心療内科を受診する人が多い」。ベストセラー「ずぼらヨガ」(飛鳥新社)の監修を務めた、ともクリニック浜松町の福永伴子院長は言う。
自律神経症状には出やすいタイミングがある
現代女性の自律神経症状の原因となるのは、職場の人間関係、家庭内での葛藤、将来への不安といった心のストレスや、過重労働による体のストレス。「最初のうちは、がんばらなくちゃ、と闘うけれど、やがてエネルギーが枯渇し、限界を迎えたときに心身のSOSサインとして症状が出る」と福永院長。

また、女性の場合は月経前1週間ほどの「黄体期」に、イライラやうつうつといったPMS(月経前症候群)の症状が悪化しやすくなる。「女性ホルモンに指令を送る脳下垂体は、自律神経をコントロールする視床下部のすぐ下にあるため。更年期も同様に、自律神経がホルモン変化によって揺さぶりを受け、さまざまな自律神経症状が起こりやすい」(福永院長)

心療内科ではどのように治療を進めていくのか。「動悸や不眠など、困っている症状を和らげる薬を処方することもあるが、不調が起こって当然なくらい自分が苦しい状況だったのだ、と気づくだけで、安心し、不調が軽くなることが多い。自律神経症状とは、不調の原因がわからない不透明さへの苦しみともいえる」(福永院長)
診察の際には、仕事や家庭の状況などを細かく聞いていき、自分に大きく負荷をかけていた要因への「気づき」を促す。「自律神経症状は決して悪いものではなく、ストレス負荷がかかっていることを教えてくれているもの。ストレス要因を見つめ、何をどうコントロールしていけばいいかを一緒に考えていく」(福永院長)
手軽な方法として福永院長が薦めるのは「深呼吸」。ストレスに直面しているときは、交感神経が優位となって、呼吸が浅くなっている。「私自身も、息が浅くなり動悸が起こりそうだなと気づいたら、吐いて、吸って、と深呼吸を意識している」(福永院長)。深呼吸は自律神経のバランスを整えられる。
調子が良くなってきたら、体を動かす習慣をプラスしよう。「ヨガは胸を広げるため呼吸がより深くなり、全身をほぐせ、眠りの質も良くなる。マッサージを受けてもすぐ元に戻ってしまうが、ヨガなら自宅でできるし、継続すれば断然コスパがいい。特に、PMSの時期にはいつもより多めに念入りに行うと、症状を軽くできる」(福永院長)。ストレス対処の手札を増やして、自律神経調整上手になろう。
福永院長が薦める4つの自律神経ケア
1.自律神経症状が出たら深呼吸を!
「緊張が高まると誰しも呼吸が浅くなる。放置すると動悸や過呼吸につながることも。呼吸が浅いと思ったら、吐いて、吸って、とゆっくり深呼吸に集中するといい」と福永院長。呼吸とセットでできるヨガでもいい。
2.睡眠時間をしっかり確保
疲労を回復し、自律神経の働きを調整するために睡眠はとても重要。まず、睡眠時間の確保を最優先にしよう。「眠れない日が続き、気分の落ち込みなども出てきたら、うつ病などの可能性もあるので注意して」と福永院長。
3.外せる負荷がないか考える
客観的に自分の置かれた状況を見つめてみると、自分に負荷をかけていた意外な原因に気づくことも。「外せる負荷は何か」と考え、とらえなおし、抱え込んでいるストレスを手放していくことも症状を軽くするきっかけに。
4.症状が改善してきたら運動!ヨガはお薦め 特に月経前は積極的に
「PMSが表れやすい月経前にはむしろ積極的に体を動かしたほうが症状が軽くなる。運動嫌いの人でもヨガなら実践しやすいし、呼吸を組み合わせながら背骨、腰、骨盤までまんべんなくほぐすことができる」と福永院長。
福永院長監修の「ずぼらヨガ」からオススメの3ポーズ
1.寝る前に タツノオトシゴのポーズ

2.オフィスで いなほのポーズ

3.自宅で うさぎのポーズ


(ライター 柳本操、イラスト 崎田ミナ)
[日経ヘルス 2018年1月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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