風邪予防に、体調管理に はちみつの選び方と使い方

栄養価が高く体にも美容にもいいと、上質なはちみつを積極的にとる人が増えています。はちみつの中には、のどの痛みの緩和や風邪の予防、虫歯菌や胃のピロリ菌対策など「天然のサプリメント」と呼ばれるようなものもあり、寒い季節の体調管理に取り入れてみたいところ。希少なはちみつの選び方や使い方を紹介します。
抗菌作用で注目される「マヌカハニー」
抗菌作用をもつはちみつとして話題になったのが「マヌカハニー」です。ニュージーランドに自生するマヌカというフトモモ科の植物から採れるはちみつを指します。
マヌカハニーは、さまざまな価格の商品が店頭に並んでいますが、体調ケアに活用するためにはどんな基準で選んだらいいのでしょうか。一般社団法人日本はちみつマイスター協会の代表理事である平野のり子さんに話を聞きました。
「ほとんどのマヌカハニーには、『UMF(注1)』と『MGO(注2)』という数値が表示されています。これらはマヌカハニーの抗菌力がどのくらいあるかを表すものです。市販されているマヌカハニーはUMFが5+~25+、MGOが100+~500+程度で、数値が大きいほど抗菌作用が強くなります」。UMF、MGOともに数値が高ければその分価格も高くなります。高くてもったいないと、体調を崩しそうなときしか食べない方もいますが「毎日食べることで体の免疫力アップが期待できます。まずはUMF10+、MGO100+のものから始めてみましょう」。
(注1)UMF:Unique Manuka Factor。マヌカハニーの抗菌力を、消毒に用いられるフェノールと比較したもの。UMF20+は、濃度20%のフェノールと同程度の抗菌力を意味する。
(注2)MGO:マヌカハニー1kg中に、抗菌力・抗酸化力があるメチルグリオキサール(MGO)が何mg含まれるかを示す。MGO100+のマヌカハニーは、1kgに100mgのメチルグリオキサールを含む。
「マヌカハニーの抗菌作用は食物メチルグリオキサールによるものです。数値の付いていないマヌカハニーもありますが、こちらは食物メチルグリオキサールが含まれていないはちみつです」(平野さん)。購入するときは数値の確認を忘れずに。「ピロリ菌対策の目的なら、UMF13+以上、MGO250+以上といわれていますので参考にしてください」
マヌカハニーは、バターキャラメルのようなコクのある濃厚な味。「空腹時にスプーン1杯のマヌカハニーを習慣づけてみてください。できれば1日3回。空腹時や、疲れたなと思ったときに。おやつとしても満足できますし、夜寝る前に食べれば疲労回復にも役立ちます」とのこと。

マヌカハニーを手軽にとるメニューとして、平野さんが教えてくれたのは「マヌカココア」。無糖のココアにマヌカハニーをスプーン1杯程度入れるだけです。「ココアパウダーにはミネラル分が多く、貧血予防、脂肪の代謝を促進する働きもあります。マヌカハニーは整腸作用があり、便秘解消にも役立ちます。抗酸化作用があり、お肌の調子も良くなります」。食物メチルグリオキサールは熱に強いという性質を持っているので、料理やホットドリンクなどにも使えるそうです。
手軽に試したい人にぴったり、ぜいたくなのどあめ
マヌカハニーを使ったコスメや健康食品を販売するオンラインショップ「マヌカライフ」では「マヌカハニーをそのまま包んだのど飴」が好評です。その名の通り、あめの真ん中に1粒あたり500mgのマヌカハニーがそのまま入っています。

「当社は、数年前よりマヌカハニーの抗菌力や健康面・美容面の優位性に着目してきましたが、想定していた以上にマヌカハニーの認知度が低いという現状を知りました。多くの方に手軽にマヌカハニーを味わっていただく方法として、マヌカハニーをそのまま包み込んだあめにたどり着きました」(マヌカライフを運営するラ・シンシアの山田淳史さん)
トロリとした食感のぜいたくな味わいで、のどの調子を整えるだけでなく、やさしい甘さでリラックスタイムにもぴったり。マヌカライフのオンラインショップのほか、東急ハンズやロフト、ハンプティーダンプティーなどバラエティーショップ、一部の調剤薬局やドラッグストアで販売中です。
「食べる香水」といわれる「レザーウッドハニー」
マヌカハニーと同様に抗菌作用や抗酸化作用があり、日本で本格的に発売された2015年に、おいしいはちみつを選ぶ日本はちみつマイスター協会主催のコンテスト「ハニー・オブ・ザ・イヤー」最優秀賞を受賞したのが「レザーウッドハニー」です。その軽やかな甘みとわきたつような香りから「食べる香水」ともいわれるはちみつです。

オーストラリアにあるタスマニア島の西部にしか育たないレザーウッドの木は100年単位の月日をかけ花を咲かせます。その花から採取されたのがレザーウッドハニーで、大変貴重なため「幻のはちみつ」ともいわれるそうです。
レザーウッドハニーを輸入・販売しているリアルフード・ドット・ジェイピー代表の高橋昭江さんによると、「私どもが扱っているロビー・ニコラ夫妻のはちみつは、大量生産をせず、原生林の森の中でゆっくりとミツバチを育てて採集します。他のオーストラリア産ハチミツに比べて2~3倍の抗酸化・抗炎症作用があり、栄養価も高いのが特徴です」とのこと。
栄養価の高いはちみつはほかにもあります。日本はちみつマイスター協会の平野さんによると、「冬の体調管理には抗菌力の高いモミ、タイムやユーカリ、体を温めるリンデン、ローズマリー、のどの炎症に良いとされるリコリスなどの木から採れるはちみつがおすすめです」。ちなみに日本はちみつマイスター協会のホームページでは、はちみつにまつわる情報を紹介しているほか、通信・通学講座ではちみつの基礎知識や正しい食べ方、上手な使い方を学ぶこともできるそうです。
味も効用もさまざまで奥深いはちみつ。体調管理に上手に活用してみては。
※価格は特記がない限りすべて税抜きです。
(取材・文 GreenCreate)
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