眠る化粧品 まだ使える?

使い残しや未使用の古い化粧品がたくさんあります。季節が変わるので、新しい化粧品が欲しくなってしまうのですが、古いものはいつまで使えるのでしょうか?
「未開封で製造3年」目安
化粧品はいつまで使えるのだろうか。防腐剤不使用をうたうファンケルのように製造月日や使用期限を明示するメーカーもあるが、多くの化粧品には記載がない。医薬品医療機器法(旧薬事法)で、製造や輸入後3年以内で変質する化粧品以外は、使用期限を表示する必要がないからだ。

メーカーは温度や湿度変化によって変質しないことを確認する試験を経て商品化する。期日が書いていない化粧品は「常温で直射日光が当たらないなど適切に保管したものなら未開封で3年間が目安」(資生堂)となる。
ただし、期限は購入時からではなく製造時から。最近買ったものではない場合は、顧客サービスセンターに問い合わせれば、大手メーカーなどでは製造日を教えてくれることが多い。その際には商品や箱に記載されている製造番号が必要となる。
開封したものはどうか。スキンケア化粧品は水や油、乳化剤などからできており、直接手で触れるとカビや細菌など微生物が繁殖しやすい。保管状況や使い方で劣化具合が異なるため、メーカーは「開封後は早めに使い切ってほしい」(花王)と呼びかける。
古い化粧品がまだ使えるかどうか、どう判断したらいいのか。女性専門の皮膚科クリニック、赤須医院(東京・港)の赤須玲子さんは「まず目で確認しよう」と話す。
ドレッシングのように成分が2層に分離しているもの、色やにおいが購入時と違うものは使ってはいけない。本来はないはずのつぶつぶした結晶のようなものができていたり、固くなっていたりするものもあきらめよう。特に「防腐剤不使用やビタミン誘導体使用なら変質が早い」(赤須さん)ので要注意だ。
見た目で問題がないなら、簡単な「パッチテスト」をやってみよう。場所は二の腕の内側。この辺りの皮膚は顔の皮膚とほぼ同じ薄さといい、テストにはちょうどいい。薬剤を含まないタイプのばんそうこうのパッド部分に化粧品を塗り、1日中腕に貼っておく。かぶれや発疹などが出なければ使用可能だ。
品質が劣化した化粧品を使うと「発疹や乾燥、色素沈着など、様々な肌トラブルが起きることがある」(赤須さん)。化粧品を扱うときは清潔な手や道具を使い、容器の口元に手やコットンが触れないようにする。容器のキャップやフタはきちんと閉める。正しく使うことでトラブルの芽を摘んでおこう。
化粧水、入浴剤代わり
肌触りや香りが好みでなかったり、新色を買い足すうちに増えてしまったり。古い化粧品はついたまりがちだ。美容ライター歴17年の大貫未記さんは「アイテムごとに意外な活用法がある」と話す。
まずはスキンケア。化粧水は捨てるぐらいならお風呂に入れるという。「保湿成分が感じられてしっとりする」。ぜいたく気分に浸れそうだ。
乳液は膝や肘、ヒップラインのケアに使える。「美白効果やアンチエイジング作用のあるものはさらに効果的」。普段行き届かない場所だからこそ、集中的なケアによる効果が期待できる。爪の生え際のマッサージに使うのもおすすめという。健やかな爪が生えるのを促す。
メーク用では「口紅がチーク代わりになる」。液状タイプのファンデーションを使う人はファンデの後、口紅を指先に付けて頬にトントンと伸ばす。フェースパウダーを使う場合は先に口紅でチークを入れ、その後パウダーを付ける。粉状ファンデを使う人は口紅チークの後にファンデを。「粉の前に口紅チークを塗るとムラ付きしにくい」
口紅チークを薄く広く、その上に普段のチークを狭く濃く重ねれば、自然なグラデーションに。のっぺりとした印象を払拭してくれる。
「メーク化粧品は水分が少ない分、変質しにくく長く使える」と赤須さん。工夫次第で新たな楽しみ方が増えそうだ。
(畑中麻里)
[日経プラスワン2016年10月1日付]
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