日焼け・むくみ・肩凝り、夏の疲れた体リフレッシュ

運動・マッサージしよう
まず気になるのは肌についてだろう。よしき皮膚科クリニック銀座(東京都中央区)院長の吉木伸子さんは「夏の終わりには、日焼けと乾燥のケアが必要」と指摘する。

紫外線を浴びるとメラニンと呼ぶ色素が作られ、肌を黒くする。対策を怠ると半年以上も日焼け跡が体に残ることもある。代謝をよくし、新しい表皮細胞に入れ替えることが一番の解決法だ。
定期的に運動をして血液循環をよくする。成長ホルモンの分泌が多いとされる午後10時~深夜2時には就寝し、十分な睡眠時間を確保する。こういった生活習慣を地道に維持することが大切だ。
乾燥に関しては「保湿成分の入った化粧品を使うことが有効」(吉木さん)。体内にもあるセラミドなど脂質の一種は水分と結合して肌の水分量を維持するという。
夏の終盤から秋口にかけては「うっかり日焼け」にも注意したい。気温が下がっても紫外線量は急には減らない。油断して日焼け対策を怠り、後悔する人が多いという。
この時期、むくみも大きな問題だ。冷房がよく効いた室内などに長くいると、筋肉が冷えて硬くなり、リンパの流れが滞る。脚を中心に水分や老廃物がたまったままの状態になってしまい、解消するのに時間がかかる。秋になって、久しぶりに取り出したブーツがむくみで履けないと悲しい。
アンチエイジングデザイナーの村木宏衣さんは「お風呂に入るとき、リンパの集中する部分をマッサージしたい」と話す。脚ならばひざの裏側が集中するポイント。両手の親指以外の指4本で筋肉の凝っている部分を押し、足首を上下に10回程度動かす。
一度にたくさんではなく、毎日こまめに続けることが大切。風呂場以外でも、オフィスや自宅の椅子に座りながらマッサージすれば、夕方になっても体がむくみにくい。

冷房による肩凝り対策などでは筋肉を刺激することが有効だ。ヨガのポーズをとることでストレッチできるほか、気持ちを落ち着かせる効果が期待できる。
左図にあるポーズなどが一例だ。「おすすめは朝にすること。一日を元気に過ごす準備になる」とティップネス(東京都港区)のトレーナー、龍野晴香さんは説明する。
このほか、有酸素運動を週に1、2回すれば、疲労を回復しやすい体になる。ジョギングならば、おしゃべりができる程度のペースで1回10~20分間が適切だ。
食物繊維の摂取大切
美や健康を維持するには体の内側のケアも大切。特に重要なのは腸の働きを保つことだ。大腸の中だけでも1000種、1000兆個の細菌が働き、肌や髪質を整えるビタミンを作り、病気から体を守る免疫機能を高めている。
人間総合科学大学の藤田紘一郎教授は「夏は暑さからくるストレスで、腸内細菌の働きが弱まることが多い」と指摘する。便秘や軟便の症状が出た場合は対策が必要だ。

腸内細菌のエネルギー源である食物繊維を積極的に取りたい。藤田教授が毎朝飲むのはグリーンスムージー。ホウレンソウなどの葉物野菜に果物と水を加えてミキサーで混ぜ合わせれば自宅で作れる。このほか、秋に旬を迎えるゴボウやレンコンなどの根菜類も食物繊維が豊富に含まれるので食卓に並べるとよい。
発酵食品で腸内細菌のバランスを整えることも有効な手段だ。納豆や味噌、ヨーグルトなどが代表例だ。麹(こうじ)菌で作る甘酒も夏バテ対策として注目を集めている。
(武田健太郎)
[日経プラスワン2013年8月31日付]
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