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体育会VS旅人どちらがほしい? 新卒採用、企業の本音

コラム(ビジネス)
2020/2/16 2:00
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NIKKEI MJ

いよいよ新卒採用シーズン。根性がある、などと根強い人気を誇るのが「体育会」出身者だが、競技やポジションごとに特性は多種多様だ。「個人競技より団体競技」「献身的なフォワードがいい」……。企業のホンネは結構細かい。対極と思われていた「旅人」出身者も最近は人気急上昇。専門の人材サービスの会社も現れた。そこで企業に聞いた。体育会VS旅人、どっちがほしい?

一押しは「主将より寮長」

「早く辞めてしまう社員には水泳部出身が多かった。水泳選手は人生でレールを邪魔されることが少ないからかな」。音声配信メディアのVoicy(ボイシー、東京・渋谷)で採用担当の勝村泰久氏はこう話す。前職は人材会社で人事部長を務め、これまでに2千人以上の体育会出身者を分析してきた。一口に体育会といっても、ひとくくりにはできない。

競技特性と働きぶりの相関を考えているという勝村氏は「ダンス部は個人の表現力も高く、チームワークも得意」「体操、フィギュアは他人の評価を気にしがち」とか。

関西の外食企業の担当者は「野球部は上下関係を意識する子が多く、先輩にかわいがられる傾向がある。サッカー部は良くも悪くもワイワイしてるかな」と話す。「テニスとか卓球とか個人スポーツは自分の達成度に対してはストイックだけど、チームでやることには……」。別の外食企業社長は「欲しいのはアメリカンフットボールやサッカーなど体だけでなく頭も使うスポーツの選手」と話す。体育会だけの採用枠があるという企業の担当者は「柔道の重量級選手、相撲部の大柄な子はどうしても威圧感が……」とホンネもチラリ。

競技種目だけでなく、ポジションにも注目する企業もある。都内の外食系企業の人事担当者は「ラグビー部出身者といっても、フォワードは寡黙で気配りができる子が多く、バックスは先を読んで臨機応変に動く」と分析する。ボイシーの勝村氏は同じアメフトでも「ディフェンスは活躍するけど、オフェンスはあんまりだった」と指摘。そうした中でも一押しは「主将より寮長」という。自身も体育会出身という企業の社長も同意見。「プライドの高い主将よりも副将、主務といった縁の下の力持ちのほうがチームづくりには重要」

すぐにやめてしまう若者が増えるなか、再び注目が集まる体育会出身者。「打たれ強い」(家電販売会社社長)だけでなく、「目標を達成するプロセスが体に染みついている点が評価されている」と指摘するのは、体育会系学生の就職支援会社、スポーツフィールドの伊地知和義副社長だ。

昨年末に東証マザーズに上場した同社。2018年12月期の売上高は約15億円と3年前に比べて3倍以上だ。同社が主催する体育会の学生向けの合同企業説明会の回数は年2割のペースで増えている。首都圏や関西圏に限らず地方でのニーズが高まっているという。

同社によると、体育会の学生は営業職や販売職での評価が高いのはもちろんのこと、最近は「ITベンチャーからも、よく声がかかるようになってきた」という。「どうせ未経験者をとるなら、根性のある体育会の人材を」というわけだ。

競技やポジションで人格が決まるわけではないが、スポーツや部活に受ける影響は小さくない。幼少期から続けている人が多い体育会ならなおさらだ。

まだまだステレオタイプなイメージを当てはめられることも多い体育会。スポーツフィールドの永井淳平取締役も「競技やポジションの特性を、企業側に細かく説明していきたい」と語る。

旅人、「変化に強い」「コミュ力高い」

「変化を柔軟に楽しめる人が多い」

人材サービスのビースタイル(東京・新宿)は20年4月に入社する新入社員として、元「旅人」を採用した。前年に引き続き2回目の試みだ。

今、旅人を採用する企業が増えている。これまでは「いつ辞めるか分からない」「浮世離れしている」と敬遠されがちだった。だが、かつての成功体験だけでは事業の成長が難しくなるなか、「変化に強い」「コミュニケーション能力が高い」といった理由で評価され始めている。

ITベンチャーのキュービック(東京・新宿)は、20年4月入社の新入社員10人のうち、3人が元「旅人」だ。「未知のエリアに飛び込める力を評価した」(人事担当者)という。

両社が利用したのは、メディア事業などのTABIPPO(タビッポ、東京・渋谷)と人材派遣のダイブ(東京・新宿)が18年3月から共同で実施している合同企業説明会「旅人採用」だ。

訪問国が5カ国以上か、海外の滞在期間が1カ月以上ある学生が参加できる。説明会はこれまでに9回開催。気になる学生がいたら、人事担当者がその場で声をかけて、面談や選考に招待するシステムだ。

登録学生数は着々と増えており、18年卒の718人から、19年卒は1756人がサービスを利用。これまでに登録した元旅人の数は19年12月時点で、新卒と中途合わせて4500人を超える。

体育会同様、旅先や旅のスタイルで何か傾向はあるのだろうか。

「北欧、アフリカに行った人は教育系を志すパターンが多い」とタビッポの担当者。「現地で教育の大切さを目の当たりにするため、志すのも納得できる」という。「インドに行った人は起業を志す傾向がみられる」

関西の大学に通う24歳男性はインドや欧米など4年間で15カ国近くを旅した。「学生時代に旅した人は欲望を消化してるから案外すぐに辞めない」と話す。「就職したら仕事第一」と意気込む。

もちろん、旅先やスタイルからわかることはほんのわずか。とはいえ、先行きが見通しにくい今だからこそ、旅人を積極的に採用する企業は増えそうだ。

説明会より体育会、白潟総研がICUサッカー部と契約

企業の採用戦線で根強い人気の体育会出身の学生。採用枠を設ける企業もあるが、体育会学生たちの発信力の高さに目をつけて、新卒学生たちに自社ブランドの認知、周知に利用する企業も出てきた。

中小・ベンチャー企業のコンサルティングを手掛ける白潟総合研究所(東京・中央)は昨年5月、国際基督教大学(ICU)サッカー部とスポンサー契約を結んだ。

これまでの場合、体育会のスポンサーと言えば大手スポーツ用品メーカーや食品メーカーがほとんど。有名大学の強豪クラブには企業はこぞってスポンサーになろうとしている。だが、東京都大学サッカー連盟で4部に所属するICUサッカー部はお世辞にも強豪とは言えない。狙いは?

ロゴには社名が入る

ロゴには社名が入る

「採用以前に、そもそも会社を認知されていない」。そう話すのはICUサッカー部出身で同社シニアマネージャーの石川哲也さんだ。優秀な同大学の学生を採用する方策として「まずは学内での知名度を上げることが必要だった」という。

そこで目をつけたのが体育会のスポンサー契約だ。サッカー部員が練習や試合の写真をSNSで発信すれば、ユニホームの胸元の社名ロゴが目に入る。特に、学生数が3000人程度と少ないことから「情報が広まりやすい」ICUでは効果は期待できそうだとにらんだ。噂が噂を呼び、学内で白潟総研の知名度が高まる算段だ。

スポンサー料は「大手広告媒体に載せるなんかよりも断然安い」。ICUサッカー部ではコーチの人件費に充てる。そのかわり、白潟総研がビジネス交流サイト「Wantedly」に投稿した際には、同部が記事をSNSで拡散するという。

胸元のロゴのほか、公式戦には社名の入った看板も掲示する。ICUの学生が白潟総研の名前を目にする機会は、以前より確実に増えている。

既に一定の効果は出ているようだ。昨年8月にキャンパス内で実施した認知度調査では、21%の学生が「白潟総研を知っている」と答えたという。「これまではほぼゼロだったから、大満足」と石川さん。相手チームにも知られるようになり「サッカー経験者の求職者も増えた」としている。

今後も体育会とのスポンサー契約に前向きな同社。狙い目は「一橋大学、東京外国語大学、青山学院大学の相模原キャンパスとか」郊外にキャンパスのある大学だ。「周囲にそんなに遊び場所がなく比較的閉鎖的だから、キャンパス内で情報が広まりやすい」

ICUサッカー部のほか、明治大学のラクロス部とのスポンサー契約も決まっているという。

(田村峻久)

[日経MJ2020年2月12日付]

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