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トヨタがソフト会社「ウーブン」 章男社長の原点回帰

日経ビジネス
2020/8/5 2:00
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トヨタ自動車の豊田章男社長(3月、東京都千代田区)

トヨタ自動車の豊田章男社長(3月、東京都千代田区)

日経ビジネス電子版

トヨタ自動車は2021年1月、先端ソフトウエアを手がける新会社を設立する。以前からある自動運転技術の開発会社から派生する形で、同技術の新領域での展開を模索する。トヨタは21年にコネクテッドシティー「ウーブン・シティ」に着工する予定。新会社は「街向けOS(基本ソフト)」を開発する母体になるともみられる。

「トヨタが大切に紡いできた思いを引き継ぎ、新たにトヨタの未来を切り開いていくための会社だ」。トヨタの子会社、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(東京・中央、TRI-AD)が7月28日に発表した同社の新組織への改編。1000字近い長文を寄せた豊田章男社長のコメントには、違和感を覚えるほどの力がこもっていた。

TRI-ADは18年3月、トヨタとデンソーアイシン精機が共同設立したソフトウエア会社で、自動運転と安全支援技術の開発を担ってきた。最高経営責任者(CEO)は米グーグルで自走車開発に携わり、ロボティクス部門長を務めたジェームス・カフナー氏。米シリコンバレーなどから500人超の「精鋭」を集め、泥臭い印象が強いトヨタでは異彩を放っている。

今回の発表は、TRI-ADを「ウーブン・コア」と社名変更し、新たに「ウーブン・アルファ」という会社を設立。さらに、コアとアルファをぶら下げる持ち株会社の「ウーブン・プラネット・ホールディングス」を新設するというものだ。21年1月の発足時は全社のトップをカフナー氏が務める。

新会社のトップに就任するジェームス・カフナー氏

新会社のトップに就任するジェームス・カフナー氏

注目すべきは、新会社のアルファだ。TRI-ADのリリースによると、その事業内容は「ウーブン・シティなどの新領域における事業拡大機会の探索、革新的なプロジェクトの立ち上げ、推進」とある。意味が少し難解だが、例えば、トヨタが今後手がける街づくり事業に、自動運転車の開発で蓄積してきたソフト技術を展開していくことなどが含まれる。

なぜ、章男社長はここまで熱を入れるのか。そのヒントが過去の2本の記事にある。

一つは2月の記事で、トヨタでIT(情報技術)領域を担当する友山茂樹執行役員がこう語っている。「トヨタは都市の基本ソフト(OS)を提供しないといけない。ウーブン・シティは終わりがなく、メンテナンスしながら進化していくモジュールだ。東富士以外にもでき、それらを幹線路でつないでいくのが将来のイメージだ」

もう一つは3月の記事で、トヨタとNTTが資本提携したときの記者会見において、NTTの澤田純社長は「国内で地域におけるインフラを持っていることがNTTの強み」と強調した。トヨタのOSがNTTの「幹線路」を介して同期されれば、複数のスマートシティーが同時にレベルを高めていくことができる。

とはいえ、当時は「都市OS」をつくるための母体がトヨタにはなかった。一方、自動運転技術の開発・実装では、OSに近い「アリーン」と呼ぶプラットフォームの開発が進んでいた。新会社を構えることで、自動運転開発で得た技術やノウハウを、生活レベルまで落とし込むことを試みる。そこに「トヨタが描く未来」(章男社長)があるようにも映る。

章男社長は新会社名から「トヨタ」の称号をあえて外し、「ウーブン(編む)」を冠したことの理由も述べている。「トヨタのルーツは織物を編む自動織機の発明にある。(章男氏の曽祖父である)豊田佐吉は『(苦労する)母を楽させたい』と思い自動織機を発明した。『他の誰かの幸せのために』という思いをさらに強め、新たなスタートを切る」

ドラマチックすぎる観はあるが、自動織機から自動車へと進出し、生産技術を武器にトップへと駆け上がったのがトヨタの歴史だ。そして今、ハードとしての「車」の先行きには陰りが見え、モビリティー領域はGAFA(グーグルの親会社アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)などテック企業の攻勢に遭っている。

「ウーブンには様々な仲間、関係者を編み込んでいくという意味合いもある」とある関係者は話す。自動車メーカーとして「次」をどう生きていくか。新会社に、その思いは確かに込められているのだろう。

(日経ビジネス 北西厚一)

[日経ビジネス電子版 2020年8月3日の記事を再構成]

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