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指数投資で「脱炭素」 日経気候変動指数とは

株式投資
日経ヴェリタス
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2022/6/28 4:00
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「日経平均気候変動1.5℃目標指数」の構成銘柄全体の温暖化ガス排出量は日経平均に比べて「半分」になるように設計されている(米テキサス州のガス田)=ロイター

「日経平均気候変動1.5℃目標指数」の構成銘柄全体の温暖化ガス排出量は日経平均に比べて「半分」になるように設計されている(米テキサス州のガス田)=ロイター

日経平均株価の構成銘柄をベースに、温暖化ガス排出量に応じて指数に占める構成比率を調整した「日経平均気候変動1.5℃目標指数」が登場した。新指数の全体の排出量は日経平均に比べて「半分」になるように設計されており、投資家は同指数への投資を通じて温暖化ガス排出の抑制に貢献できる。世界でも脱炭素型の株価指数を用いたパッシブ運用が広がっている。

■温暖化ガス排出量は日経平均の「半分」に設計

「温暖化ガス排出を抑制する人類共通の目標を達成するには、運用の世界で大きなシェアを占めるパッシブ運用でも、脱炭素の選択肢は欠かせない」。国内の大手運用会社の役員はこう強調する。こうした市場ニーズに呼応して、5月30日に算出が始まったのが「日経平均気候変動1.5℃目標指数」だ。

指数の算出方法はこうだ。日経平均を構成する225銘柄を対象に、①化石燃料関連の売上高が一定水準(石炭1%以上、石油10%以上、ガス、発電事業50%以上)を超える銘柄や、ESG(環境・社会・企業統治)の視点から武器やたばこ、社会規範に抵触する銘柄は採用を見送る、②採用する銘柄(①以外)のうち、企業価値(規模)に対する温暖化ガス排出量が少ない銘柄は指数全体に占める構成比率を高くする一方、排出量が多い銘柄は構成比率が低くなるように調整する。この2つの方法により、新指数の全体の温暖化ガス排出量が日経平均に比べて半分になるようにする。さらに、定期見直しの際に指数全体の温暖化ガス排出量が1年前と比べて7%減るように銘柄の構成比率を調整する。

温暖化抑止の国際的枠組み「パリ協定」の目標達成に向けた欧州連合(EU)の指数規則に従っている。銘柄の選定や構成比率の上げ下げの調整は、日本経済新聞社と協業した指数算出会社、米ウィルシャーのノウハウを活用した。

手順①では石油開発会社や総合商社、電力、ガス会社など21銘柄が対象になった。今後、各企業の努力で基準に抵触しなくなれば、気候変動指数の構成対象に変わる好循環も期待される。手順②で、日経平均と比べて、指数に占める構成比率が高くなった主な銘柄をみると、1.39%から1.5%に高まった中外製薬や、玩具・ゲーム大手のバンダイナムコホールディングスをはじめ、主力事業で温暖化ガス排出量が少ない銘柄が多い。一方、構成比率が低くなった銘柄では、住友大阪セメントなど本業で温暖化ガスの排出が避けられない銘柄が目立つ。

■エコへの市場心理を「見える化」

日経平均は構成銘柄を「技術」、「金融」、「消費」、「素材」、「資本財・その他」、「運輸・公共」の6つの業種・セクターに分類しており、気候変動指数でもこの6分類の構成比率は日経平均と同じになるようにした。これにより、技術セクターが好調な時、消費や金融がけん引する時、といったセクターの物色動向が2指数の価格差としては表れにくく、値動きは日経平均にほぼ連動する。

だが、子細にみると、常に価格差はある。この差分は気候変動抑制に対する投資家のセンチメント(市場心理)を映していると捉えられる。

E(エコ)心理を「見える化」したのが、日経平均と気候変動指数の差を時系列でみたグラフだ。気候変動指数の基準は、2020年10月末をベースに算出している。菅義偉首相(当時)が日本を2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると宣言した時点だ。

過去に遡って算出した指数値と比べると、2019年初時点では気候変動指数が日経平均より約600円下回っていたのが、右肩上がりで差が縮まり、21年の後半にかけては逆に日経平均を上回っていた。

資源高を背景に、石炭や石油など化石燃料に関連する企業の株価が上昇に転じていたところに、2月にはロシアによるウクライナ侵攻が始まり、資源関連株の値上がりが加速した。このため、足元では気候変動指数は日経平均を100円程度下回っている。

今後、上場投資信託(ETF)など、指数に連動する金融商品が登場した後は、市場が気候変動への配慮を強めるとみれば、気候変動指数を買い持ちする一方、日経平均を売り持ちするロング・ショート戦略も有力になりそうだ。

■世界で続々 「脱炭素」型の株価指数

世界では「脱炭素型」の株価指数が相次ぎ登場している。日経気候変動指数と同様に、主要な株価指数に対して温暖化ガス排出量が「半分」になる指数だ。

世界の株式市場の動向を反映するMSCIワールドやFTSE先進国指数と対になる気候指数のほか、米国のS&P500種株価指数、欧州のSTOXX欧州600株価指数でも算出が始まっている。米ウィルシャーは日経平均の気候変動指数と同時に、香港のハンセン指数の算出会社とも同様の指数を開発した。

欧米の主要指数の脱炭素指数では連動するETFが相次いでいる。

個人投資家のニーズに合わせて主要な証券会社がETFを取り扱うようになれば、世界の株価指数に投資しながら脱炭素への取り組みに関わることができる。

(インデックス事業室 藤原隆人、中西誠)

[日経ヴェリタス2022年6月26日号に掲載]

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