日本経済新聞社の総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、2022年1月24日までに公表された各種経済指標の情報を織り込んだ予測によると、21年度の実質成長率は2.6%、22年度は3.4%の見通しになった。
21年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は前期比1.6%増と、2四半期ぶりのプラス成長になったもよう。輸出は前期比で微減となったが、個人消費や設備投資など民間需要が回復した。
22年1~3月期は新型コロナウイルスの感染拡大が個人消費に影を落とすが、プラス成長が維持されるとみている。設備投資も堅調に推移するほか、輸出も前期比で増加に転じることで、4~6月期以降、景気は反発力を強める。
21年10~12月期の個人消費は好調に推移したとみられる。日銀が発表した実質消費活動指数(旅行収支調整済み、季節調整値)は、10~11月平均を7~9月期平均と比較すると4.3%増だった。特にサービスは7.1%増と好調だった。
足元の新型コロナの感染拡大を受けて、先行きの景況感には警戒感が表れている。内閣府が発表した21年12月の景気ウオッチャー調査では、2~3カ月先の景気を表す家計動向関連の先行き判断指数(DI、季節調整値)は前月比5.2ポイント低下した。多くの地域でまん延防止等重点措置が適用されたことで、外食や旅行などの消費は一定程度抑えられる。ただ、新規感染者数の拡大に比べて、重症者数の割合は小さく、個人消費への影響も限定的とみている。22年1~3月期の個人消費は、政府の経済対策による給付金の効果もあり、前期比1.1%増と2四半期連続のプラスを見込む。21年度は前年度比2.4%増となる見通しだ。新型コロナが収まればサービス消費は反発し、個人消費は22年度前半まで増加が続く。22年度は前年度比4.3%増と予測する。
日銀算出の実質輸出(季節調整値)は21年10~12月期に前期比0.9%減だった。本予測では、GDPベースの10~12月期の実質輸出は前期比0.4%減と2四半期連続で減少したとみている。
輸出の停滞は半導体などの部品不足が影響しているが、サプライチェーン(供給網)の混乱は22年1~3月期以降、徐々に解消していくとみている。海外でも変異型「オミクロン型」による感染は拡大しているが、ワクチンの追加接種を進めるなどの対策により経済活動を継続する見通し。各国とも個人消費を中心とした景気回復基調を持続する。
堅調な海外経済を背景に1~3月期以降、GDPベースの実質輸出は前期比プラスに転じる。21年度は前年度比11.5%増と大幅な増加となり、22年度も同3.5%増と増加基調を維持する。
21年10~12月期の設備投資は前期比1.8%増と2四半期ぶりの増加を見込む。内閣府が発表した機械受注統計では、設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需(季節調整値)」が、11月は前月比3.4%増と2カ月連続の増加となった。
企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素化への対応を迫られており、日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)をみると、設備投資計画は高水準にある。GDPベースの設備投資は22年1~3月期以降も増加が続く見通し。21年度の設備投資は前年度比2.5%増、22年度は同4.8%増と予測している。
なお、今回のNEEDS予測は、日本経済研究センターが21年12月に公表した改訂短期予測をベースにしている。
(日本経済研究センター 山崎理絵子、デジタル事業 情報サービスユニット 渡部肇)
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