ソフトウエア開発のBeta Computing(石川県津幡町)は業務用スマートフォンアプリの受託開発が主力だ。2015年の会社設立以来、企業などの業務効率化を支援するアプリを手がけてきた。技術力の売り込みに役立っているのが、自社製品のアプリ「競技かるた ONLINE」だ。
全日本かるた協会の公式ルールを再現した
吉村真幸社長は「ゲーム開発会社に見られてしまうが、BtoB(企業向け)アプリの会社」と言い切る。同社は石川県内の企業のシステムエンジニアだった吉村氏ら3人が立ち上げた。顧客が抱える課題に応じてアプリのあり方を話し合い、開発してきた。
例えば酒造会社向けに提供したのが樽(たる)のデータを管理するシステム。樽は種類が多く、貯蔵期間が長期にわたることから、データの一覧性や視認性の高い表示などにこだわった。業種を問わずに受注し「スマホアプリで必要な機能はどの内容でも実現できるのが強み」と話す。
営業ツールとなる自社製品として19年に開発したのが競技かるたのアプリだ。全日本かるた協会の公式ルールを忠実に再現し、技術力の高さを見せようとした。
札の配置や暗記時間、競技に出ていない「から札」、お手つきもルール通り。指の操作で、複数の札を吹き飛ばして札を取ることもできる。協会から読み方の技術を認められた「A級公認読手」の音声を採用した。初心者向けに、ここまで聞けば札が分かる「決まり字」の札の設定も可能だ。
「決まり字」の札の設定もできる
基本的に無料で楽しむことができる。ダウンロード数の目標は当初2万だったが、今や20万を突破した。吉村社長は人気になった理由について「競技かるたのルールを落とし込んだ点や、しっかりした読み上げなどが評価されたのではないか」と話す。地元のかるた教室で、意見を聞いたことも開発に役立った。
会社の知名度が徐々に高まり、本業の営業にも効果が出ている。さらにアプリに興味を持った高専生を新卒で採用することができた。「様々な人に見てもらえるアプリが大事なことが分かった」という。
22年3月期の売上高は約2500万円。同年には百人一首の読み上げに特化した有料アプリの配信を始めた。BtoBに軸足を置きつつ、一般の人向けの製品開発にさらに力を入れる戦略だ。
(石黒和宏)
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