2021年は相場が下がっても「逆にチャンス」と思えるメンタルで投資に臨みたい=AP
今月はあなたの個人のお金の問題にかかわる4つの数字をチェックし、今年の暮らし方を考えてみようというテーマです。最後にチェックしてみたいのは「投資残高」です。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大の恐怖から世界の株価は大きく下げて3月の年度末を迎えました。しかし株価はその後持ち直し、秋以降大きく上昇しました。20年の日経平均株価の上昇率はなんと16%にもなっています。
目の前の生活や雇用の不安、賃金減少、ボーナスカットの心配がある現状と比べると、株価の上昇は奇異に映ります。しかし現実としての数字がそこにあります。
あなたの投資状況はどうだったでしょうか。3月前後に怖くて売ってしまい、損失を出して終わった人、中長期で構えて、あるいは値下がり時に投資を始めてプラスのリターンを得た人もいるでしょう。
すでに何らかの投資をしている人は「20年末の投資残高」をチェックしてみましょう。証券総合口座、少額投資非課税制度(NISA)口座、個人型確定拠出年金(iDeCo)口座など、WEBサイトにログインすればそうした数字が確認できるページが用意されています。
2020年末の数字がどこにあるかよく分からないなら、今ログインしたときの時価でみてもかまいません。
可能なら19年末の数字と比べてみましょう。増減に影響するのは、「運用益(損)+追加の積み立て投資額」です。19年より残高を増やして20年を終えられたでしょうか。
様々な投資対象、様々な運用方針で運用される投資信託を分析すると(20年11月末データ)、46%は昨年初からマイナスの運用成績だったそうです(2020年の投信運用、半分近くが損益マイナス)。
日経平均株価は大きく上昇しているのになぜ、マイナス運用の投資信託があるかといえば、「日本株式」「外国株式」が大幅に上昇した一方で、「国内外のREIT(不動産投信)」などは下落したからです。
個別のアセットクラス(投資対象)へ運用したファンドはそうしたあおりをもろに受けます(うまくいくときは大幅上昇の可能性もありますが)。複数のアセットクラスへ投資するバランス型ファンドを活用すると、大きくマイナスになるリスクを和らげることができます。
さらに積み立て投資を行うと(特に20年のマーケットのような値動きでは)効率的な運用結果を導き出します。難しいマーケット環境下において、個人投資家は「長期・積立・分散投資」を無理なく続けることがベターだと思います。
今は大きく株価が上昇していて「日経平均株価は3万円を突破か」と騒がれていますが、個人投資家はむしろ「ここから下がっても慌てないこと」を意識すべきでしょう。
さらにするすると値上がりするならそれはそれで結構です。しかし目の前の社会や経済を考えれば、昨年の今ごろの株価になっていたっておかしくはないのです。21年の投資においてはそれくらい覚悟しておきたいものです。
そして、もしそうなったとしても損切りして損失確定させる必要はありません。むしろ「しばらくのあいだは積み立て投資のチャンスが続くな」と考えて投資を継続すればいいのです。そこからまた回復をすることもあり得るからです。
21年、無理しない範囲で投資継続を心がけてみたいものです。
投資口座を開設済みでない人も、あなたに貯蓄余力があるなら投資デビューをしてみることをお勧めします。
ゼロ円からのスタート、毎月5000円程度からでも投資はスタートできます(100円から始められる積み立て投資信託もあります)。
実は20年、株価が大きく下落したにもかかわらず、iDeCoやつみたてNISAの口座開設数は堅調に推移しました。つみたてNISA向け投資信託への資金流入も継続していました。
普通に働き生活をする個人が投資デビューする時代が来ています。少しでも投資に興味関心があるなら、その気持ちのまま口座開設まで踏み込んでみてはどうでしょうか。
もしかすると世の中が大変な時期に始めた投資が、数十年後のあなたを支える大きな財産に育ってくれるかもしれません。
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「FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。
山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp
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