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バブルに踊らず、長期投資と向き合おう(澤上篤人)
「ゴキゲン長期投資」のススメ さわかみ投信会長

株式投資
日経マネー
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2021/1/24 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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投資業界のカリスマの一人、澤上篤人氏が考える長期投資のあるべき姿を、同社最高投資責任者の草刈貴弘氏との対談形式で紹介する。

バブルに群がる投機的な投資家

澤上篤人(以下、澤上) カネ余りによる株高バブルは、とどまる所を知らないように膨れ上がり続けている。米国では上位1%の富裕層のうち、52%が株・投信を保有しているのに対し、下位50%の保有率はわずか0.6%にすぎないという報道があった(2020年の4~6月期)。かように株高の恩恵は低所得層に及んでおらず、同様の富の偏在は各国で進んでいる。

それに負けじ、と個人の投資熱は高まるばかりだ。株高に乗って、ひと儲けふた儲けしようとする熱気が高まり続けている。米国では人気株に群がる「イナゴ投資家」が大量発生しているのだろう?

草刈貴弘(以下、草刈) ロックダウンの期間中、ゲーム感覚で投資を始めた初心者層のエネルギーは相当なものがあったようです。ただ、その勢いも失業給付金の上乗せが失効した8月以降は一旦、沈静化しました。ところが、米大統領選が熱を帯びてきた頃からトリプルブルー(大統領、上院、下院を民主党が制覇する)という新たな投資テーマが浮上します。民主党政権になれば、環境投資拡大や大規模な景気対策が期待できる……ということでバブルが再燃。

極め付きのバブル燃料がコロナワクチンの開発動向です。良いニュースはもちろん、悪いニュースも株価材料になっている。もう手の付けようがない状況ですね。

澤上篤人氏(写真:竹井俊晴)

澤上篤人氏(写真:竹井俊晴)

澤上 すごい投資熱だけど、株高に酔いしれている個人投資家も、「株なんてとんでもない」と投資に背を向けている大多数の日本人も、このバブルがはじけたら痛い目に遭うよ。個人も機関投資家も悲惨な結末を迎えることになるのは間違いないだろう。投げ売りの修羅場に放り込まれて右往左往する姿が目に浮かぶよ。

草刈 ITバブル崩壊やリーマン・ショックの時も、浮かれた投資家はひどい目に遭っているのですがね。今回は景気が減速し始めた直後にコロナ禍に見舞われたので、「コロナから経済を救う」という錦の御旗の下、かつてない規模の金融緩和と財政出動が実施されています。結果、株価は上がったものの経済は不調という、偏った経済状況になっているのは否めません。

澤上 バブルが吹き飛んでも、現物株投資なら元本を失うだけだからまだいい。米国のイナゴ投資家には、先物やオプション取引にも手を出している者も多いという。想像もしてなかった額の追い証を突き付けられ、初めてバブル投資の恐ろしさを思い知ることになるのかもしれない。だが、その時はもう遅い。

投資をしない人も修羅場が待っている

ところで、米国と日本では投資に対する考え方がちょっと違う。米国ではほとんどの人が、お金さえあれば投資をしたいと考える。一方、日本は投資に無関心もしくは忌避する人が大半である。

草刈 投資に限らず、お金に対する考え方が違う気がします。学生だった2000年頃、アルバイトでハワイに行き、現地で働いている日本人の方と話す機会がありました。そこで「お金を増やすなら貯蓄か投資か」という話題になったのですが、その方は、貯蓄ではなくアップルの株を買うと言っていました。銀行を信じていないし、貯蓄では物価上昇に追い付けないと。当時の私には衝撃的な考え方でしたし、正直、おかしな人だなと思いましたが、今となってみれば彼の言う通りでした。貯蓄ではろくにお金は増えなかったでしょう。

澤上 日銀によると、家計の金融資産1901兆円のうち、株式と投信などの割合は13.3%(253兆円)。一方、49.3%の937兆円が預貯金として銀行に眠っており、27.9%(530兆円)が保険・年金だという(20年9月末時点)。個人マネーの半分が年利0.001%でしか回らない預貯金に塩漬けになっている。米国のみならず世界的に見ても、全く理解のできない投資アレルギーぶりだよ。

草刈 コロナ禍もあってか、少しずつですが、日本人の間でも投資を始めようという機運は高まっています。米国ほどではないにせよ、NISA(少額投資非課税制度)などを使って投資を始める若者が増えていると聞いています。

ただ、気掛かりなのは、この株高です。バブル崩壊に巻き込まれたら、せっかく投資を始めた人たちも資産の急減に驚き、投資をやめてしまうのではないでしょうか。

澤上 とは言え投資に背を向けていた大半の日本人も、バブルが弾けたら「やっぱり株式投資なんて、やらなくてよかった」と口々に言うはずだよ。そして、ますます預貯金にしがみつくことになる。

断言しよう。投資に背を向けている人たちも、決して安心安全ではない。彼ら彼女らには別の修羅場が待っている。とんでもない状況に放り込まれよう。どういうことか? 進行中の金融バブルが崩壊したら、踊り狂っていた投資家のみならず、金融機関もガタガタとなる。預金を引き出せなくなる状況だって起こり得る。資産を預貯金にして安隠としていた人たちも真っ青になるかもしれない。

草刈 次の大きな株価の調整は、人々の価値観すら変えるかもしれません。今、世界の株式時価総額は、世界のGDP(国内総生産)総額を超えているそうです。これは人類史上初めてのこと。お金の価値が急速に下がっているとも考えられます。だからこそ投資はしておいた方がよいですね。お金の価値があやふやになるなら、資産を何にシフトしておくべきなのか。真剣に考えた方がよいと思います。

澤上 先進国中心にこれだけの緩和マネーをばらまいてきたのだから、お金の価値は間違いなく下がっている。ちなみに中央銀行の総資産はその国のGDPの10~20%が適当とされている。ところが足元の米連邦準備理事会(FRB)の総資産はGDPの30数%、欧州中央銀行は50数%、日銀に至っては120数%にもなっている。

通貨の番人たる中央銀行のバランスシートが異常なまでに肥大化しているということは、お金の価値がそれだけ下がっていることに他ならない。この事実に鑑みるだけでも、預貯金にしがみついている人たちの気が知れない。安全どころか、ものすごい勢いで財産を目減りさせているのだから。

バブル的な状況だからこそ、正しく投資に向き合うことが必要なのだ。我々「さわかみファンド」は、21年以上の運用で年6.1%という実績を残している。バブルに踊ることなく、それでいてお金の価値の下落にも十分以上の対応をしてきたわけだ。預貯金では、こうはいかないよ。

草刈貴弘氏(左、写真:竹井俊晴)

草刈貴弘氏(左、写真:竹井俊晴)

澤上篤人(さわかみ・あつと)
1973年ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。ピクテ・ジャパン代表取締役を務めた後、96年あえてサラリーマン世帯を顧客対象とする、さわかみ投資顧問(現さわかみ投信)を設立。
草刈貴弘(くさかり・たかひろ)
2008年入社。ファンドマネジャーを経て13年から最高投資責任者(CIO)。

[日経マネー2021年3月号の記事を再構成]

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著者 : 日経マネー
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