名古屋税関が22日発表した2020年の管内貿易概況によると、中国向けの輸出額は前年比4.6%増の2兆9531億円と、2年ぶりに増加した。自動車関連の伸びが大きく、完成車とハイブリッド車(HV)用モーターなどの重電機器は過去最高を更新した。米国向けは前年割れしたが、足元では回復が目立っている。
中国向けの完成車の輸出額は69.9%増の1837億円、重電機器は40%増の1084億円だった。比較できる1979年以降で最高だった。景気の上向く中国では自動車販売が伸びており、トヨタ自動車が高級車ブランド「レクサス」を中心に輸出を拡大している。
現地での自動車生産の伸びに合わせて、自動車部品の輸出も復調している。鉄鋼や非鉄金属、半導体製造装置の輸出額は前年を上回った。日本国内の消費低迷を背景に中国からの衣類品などの輸入は減っており、対中貿易の黒字額は1兆488億円と過去最大に膨らんだ。
世界向けの輸出額は14.9%減の16兆1609億円と、2年連続で減少した。対米、対欧州連合(EU)、対東南アジア諸国連合(ASEAN)はいずれも2桁台のマイナスだった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で米国向けは航空機部品の減少が目立つ。EU向けやASEAN向けは自動車関連が苦戦する。
足元では持ち直しが鮮明だ。顕著なのが米国向け輸出で、月別では昨年12月まで4カ月連続で前年同月を上回った。大型ガソリン車を中心に完成車の輸出が伸びている。低調だったASEAN向けも12月は10カ月ぶりに増加に転じた。
米国ではバイデン政権が発足し景気対策を強化するとの見方もある。一方、新型コロナの感染は世界的に再拡大しており、輸出の先行きを見通す上で強弱材料が入り交じっている。
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