食品スーパーのヨークベニマルの業績が好調だ。本業のもうけを示す営業利益は2021年2月期に3期ぶりに過去最高を更新する見通しとなった。コロナ禍の長期化で在宅勤務や外食を自粛して自宅で食事をとる「内食」が定着しつつあることが追い風になる。
ヨークベニマルが20年3~5月期決算で発表した単体の今期業績見通しは売上高が前期比3%増の4516億円、営業利益は7%増の140億円だった。営業利益は増えるものの、積極出店と景気回復が重なった18年2月期の141億円には及ばないとみていた。
政府は新型コロナウイルスの感染拡大で4月7日に緊急事態宣言を発令し、5月25日に解除した。宣言の前後には消費者の間に備蓄向けの食品を買いだめする動きが広がった。パスタやレトルト食品、缶詰などは棚に並べた端から売れてなくなる状態が続いた。
その結果、20年3~5月期の売上高は前年同期比9%増え、営業利益は同83%増の62億円に膨らんだ。ただ、同社ではこれは一時的な現象で、間もなく反動が表れるとみていた。
しかし、緊急事態宣言が解除され、飲食店の営業や学校給食が再開しても影響は限定的だ。6月以降の既存店の売上高は前年同月比5%前後のプラスが続いている。
そのため、20年6~8月期の利益水準は大きくは下がらず、半年で年間の利益目標の8割前後を達成するのがほぼ確実になっている。
消費者への還元策として食品や日用品など主要300商品の緊急値下げを実施した。
秋以降は店舗の改装や設備の改善などの投資を積極化する予定。それでも「国内景気の極端な落ち込みなどがなければ、通期の営業利益は数億円以上の上方修正となりそう」(同社)な状況だ。
コロナ禍は7月以降、首都圏中心に感染拡大の第2波が起きるなど収束の兆しが見えない。ヨークベニマルが店舗を置く福島、宮城、山形、茨城、栃木の各県でも在宅勤務が広がる。
レストランや居酒屋などの外食も客足の戻りが鈍いままで、自宅で食事をとる人が多いことを示している。
一方、ヨークベニマルの有力な子会社で、総菜を手掛けるライフフーズ(福島県郡山市)の業績は伸び悩んでいる。「勤務先でパック入りの食品を食べる人が減った」(同社)ことなどが響いている。
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