映画や小説であれば、子供が親にせがんで犬を飼い始めるのが常套(じょうとう)なのだろうが、私の実家ではある日とつぜん母が、家族への事前の相談も抜きにいきなり犬を連れ帰ってきた。それは芝生の上を恐る恐る、しかし太い脚で一歩一歩踏み締めながら歩く、真っ白な雑種の子犬だった。
小格馬を意味するポニーという名の与えられた子犬は元気に育ったが、4歳のときにフィラリア症に罹(かか)って…
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