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投資から逃げ出したくなったRさんへの手紙
「積み立てを止めるな!」記者からのメッセージ

iDeCo
NISA
コラム
2020/3/26 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

写真はイメージ=PIXTA

Rさんへ。初めてお便りします。

昨年の老後資金2000万円問題で危機感を持ち、投資や積み立てを始めた20~40代のあなた方にどう呼びかければいいか分からなかったので、老後資金の頭を取って仮にRさんということにしました。あなた方は投資をスタートしてから初めて迎える今回の相場急落に、夜も眠れないほどの不安を感じているのではないでしょうか。それどころか連日「過去最大の下げ幅」「○年ぶりの安値」といった記事を目にする中で、投資そのものから逃げ出したくなった人もいるのではないかと思います。

事実、少額からの積立投資を勧める本をたくさん書いている有名ファイナンシャル・プランナーのもとにも、交流サイト(SNS)のメッセージなどで「一度売却すべきでしょうか?」「これまで蓄えた利益が全て吹っ飛びました」「投資でもうけようと思ったこと自体を反省しています」といった質問や意見が、多い日は1日30件も寄せられているそうです。

その苦しい気持ちはよく分かります。金融の記事を書いている我々だって一緒ですから。白状すれば、日経平均株価が1日に1128円も下がり、NYダウが2997ドルも下がるのを見ると、「金融市場は一体どうなるのか」と動悸(どうき)がして、胃が鉛をのんだようになります。こんな日が続いた結果、1カ月ちょっと前まで2万9000ドル近辺だったNYダウは3月23日には1万8591ドルまで下落してしまい、同じく1カ月前に2万3000円近辺だった日経平均株価は3月18日には3年4カ月ぶりに1万7000円を割ってしまいました。これは歴史的な急落ぶりであり、足元では日米ともに急反発しているものの、まだ底を打ったとはとても思えません。

為替相場も激しく乱高下しています。特に3月9日には1ドル=101.2円まで急激に円高が進むシーンがあり、同僚も「1日に1円動くことはたまにあるが、1ティック(1度の値動き)で1円も値が飛ぶのは30年の記者歴でも見たことがない」と顔をこわばらせていました。金融関係者がこうした緊張感を抱くのも無理はありません。今回はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)のせいで相場が壊れているのではなく、未知のウイルスによって不安心理が世界中に広がっているのが原因なので、いつ沈静化するのか誰にも分からないからです。

■リーマン・ショックは約4年で回復

記者自身のiDeCoの運用成績。これまで順調に増えてきたが、ここに来てポッキリ折れてしまった感じだ

記者自身のiDeCoの運用成績。これまで順調に増えてきたが、ここに来てポッキリ折れてしまった感じだ

Rさん。でも損をしているのは私も同じです。

2017年から始めた私の個人型確定拠出年金(iDeCo)の資産は、2月25日までは2本の投信を合わせて10%超の成績で運用できていたのですが、今では日本株投信の方が▲13.6%、世界株投信の方は▲6.2%と、完全に元本割れしてしまいました。基準価格が1万1000円くらいの時に買っていた米国ヘルスケア投信も、直近では7800円台まで下がっていました。大損です。でも、あえて言えばこのように「大きく上がることもあれば、下がることもある」のが投資の世界なのです。リスクはリターンの源泉なのですから。

もっと言えば、機関投資家など世界中の運用のプロも同様に苦しんでいます。世界の相場全体が急落する中では、どんなすご腕でも1人だけ大勝ちし続けるのは難しいのです。

でも、だからといって今積み立てをやめたり、持っている株や不動産投資信託(REIT)をたたき売ったりするのは最悪の投資行動です。私は、今回もっと相場が悪化しても積み立てはやめず、じっとしていようと決めています(iDeCoはそもそも中途換金したくてもできませんが)。なぜなら私は、こうした大きな金融危機は何年かに1回起こるけれども、多くの場合は数年後に元に戻るものだということを経験で知っているからです。

例えば米国株の値動きをNYダウを例に見てみましょう。チャートの通り時々大きな金融ショックが起き、その都度株価は大きく下落しますが、数年するとまた元に戻っています。ITバブル崩壊は約4年、リーマン・ショックも約4年で、チャイナ・ショックでは約10カ月で元の水準に戻りました。米国株はこれらの金融危機を経て、歴史的に常に最高値を更新し続けてきているのです。

■怖くて買えない時期も積み立てなら買える

Rさん。人間というのは弱く、しばしば合理的でない行動に出るものです。

金融危機の始まった時期には、一部明確に定義できないものもある

金融危機の始まった時期には、一部明確に定義できないものもある

私は個人の投資行動を30年近く見ていますが、多くの人は相場が上がってきた時に「この波に乗っかればもうかりそうだ」と高値で買っては、今回のように相場が暴落すると急に怖くなって、安値で売ってしまうもののようです。今がまさにこの状況です。でも、これでは資産が減る一方なので、勇気を出してこれとは逆の行動をしなければなりません。ある億万長者の投資家は「暴落続きの総悲観ムードの中ではマウスを持つ手が震え、思わず漏らしそうになる。そこで買い注文を出せれば、大きくもうけられる」と言います。でもこれ、普通の人には無理ですよね。

だから我々は投信や外貨の積み立てを使うのです。これなら相場が大荒れの最中で、投資のことなんか考えたくない時期でも毎月一定額を機械的に買い付けてくれます。バーゲンセールの最中ですから同じ額でも普段より多く買えて、相場が戻った時には量の増えた資産がそれぞれ値上がりするので、全体が大きく膨らむのです。だからとにかく、今のような時期に積み立てをやめるべきではありません。Rさんのように昨年勇気を出して始めた人はここが正念場、我慢のしどころです。

機関投資家は、例えば投信の解約が増えればこんな時期でも組み入れ株を売って投資家に払い戻す現金を作らねばなりません。立場上、みすみす損になる行動を取らざるを得ないのです。しかし我々個人投資家には顧客もいなければ決算(運用のゴール)もないので、5年、10年と長い目で待つことができます。退場せず、1日でも長くこうして相場に居続ければ、いつか来る上昇局面に立ち会うこともできるというわけです。

■配当利回りは急上昇、始めるなら今

Rさん。投資に絶対はありません。

それでも自信を持って言えるのは、地球の人口は増え続けており、それに伴って世界全体の経済もゆっくり成長を続けているということです。今回のことで成長率は短期では悪化するでしょうが、世界中の資産に分散投資しておけば、長期では世界全体の経済成長に伴った収益が見込めると考えるのが普通です。積立投資で成功する人は、皆このような「世界経済の長期的成長」を信じているのではないでしょうか。

今は胃の痛くなる毎日でしょうが、日はまた昇ります。不安でたまらないならしばらくは資産評価額の画面を見るのをやめて、嵐が通り過ぎるのを待つといいでしょう。

最後に、2000万円問題で危機感は持ったけれどもまだ投資を始めていなかった「Rさん予備群」にも言いたいことがあります。それは、始めるなら今が絶好のタイミングだということ。もう一段の下げもあり得ますが、それでも日経平均株価が2万4000円近かった2月中旬に比べれば、今は同じ価値のあるものが2~3割も安く買えます。今積み立てを始めれば、割安に多くの量を仕込めるのは確かです。個別株やREITへの投資でも、日本を代表する銘柄がかなり安く買え、配当利回りも驚くほど高くなっています。例えばJTは7.46%、キヤノンは6.45%、ヤマハ発動機は6.36%、三井住友フィナンシャルグループが6.10%といった具合です。REITの分配金利回りでも7%を超えているものが14本もあります(3月25日現在)。

野村證券は年末の日経平均株価の予想を2万3000円としています(3月16日時点)。そこまで早期に回復してくれるかは分かりませんが、今回はリーマン・ショックの時のように金融システム自体が破綻しかけているわけではありません。また人類はこれまでの金融危機で多くのことを学び、備えて来ました。なので私自身は、時間はかかってもいずれは2月の水準に戻る日が来ると信じているのです。

大口克人(おおくち・かつひと)
日本経済新聞社編集局 マネー編集センター副センター長、日経BP「日経マネー」発行人。1991年に日経マネー編集部に配属され、以降は日経ゼロワン編集長、日経マネー編集長や日本経済新聞社マネー報道部長などを経て現職。30年近くにわたり個人の資産形成を取材。

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