「北アルプス」を「南アルプス」に並ぶブランドに――。サントリー食品インターナショナルは22日、長野県大町市で計画するミネラルウオーター工場の概要を発表した。工場名は「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」、生産する商品のブランドは「サントリー天然水〈北アルプス〉」とする。工場には見学施設のほか、来場者が地元の自然を体感できる環境なども整える。2021年春の稼働を目指す。
約41万平方メートルの敷地に延べ床面積約4万平方メートルの工場を建設する。投資額は240億円程度の見込み。昨年9月に計画を発表した際には20年末の稼働を予定していたが、人手や資材の不足などから21年春にずれ込む。投資額も百数十億円としていた当初より膨らむ。東日本エリアを中心に21年夏以降に出荷を始める。
敷地内には森に親しめる遊歩道や小川が流れる芝生の広場、北アルプスを一望できる展望テラスなども整備。通常の工場見学に加え、体験型映像を流すシアターなども用意する。来場者は年間数万人規模を見込む。
新工場は自然への配慮からも環境対応を強化する。二酸化炭素(CO2)排出量ゼロを目指し、大型の太陽光発電設備なども整備。省水を徹底するなど水資源の有効活用にも配慮する。
22日に大町市で会見した小郷三朗会長は「生産拠点としてだけでなく大町の水や自然のすばらしさを多くの人に体験してもらい、豊かな交流ができる場所にしたい」と強調した。会見に出席した長野県の太田寛副知事も「長野県や大町市のブランドを高める価値ある施設になる」と期待を寄せた。
消費者の健康志向などを背景にミネラルウオーター市場は成長が続いている。炭酸水や風味をつけたフレーバーウオーターなど商品ラインアップの充実もあり、サントリーの「天然水」の売れ行きも好調だ。18年には過去最高となる前年比9%増の1億1730万ケースを販売。国内清涼飲料市場のトップブランドになったという。
従来の国内3工場体制では生産余力が乏しくなっており、4カ所目となる新工場の建設を決めた。小郷会長は「これからは南アルプスと北アルプスが中心になっていく」と強調。「新工場はさらに供給力を高められるようにしてある」とも話し、今後も投資を継続して主力工場に育成していく姿勢を示した。
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