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チューハイ?サワー?呼び名なぜ違う 商品名で東西差
とことん調査隊

関西タイムライン
コラム(地域)
関西
2019/6/18 7:01
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「サワーを注文したら、店員にチューハイと言い直された」。ある日、後輩が居酒屋での出来事を教えてくれた。そういえば大阪への転勤前の東京ではサワーで通じていた気がする。ほぼ同じ飲み物でも関西は「チューハイ」、関東は「サワー」と呼ぶ傾向があるようだ。調べてみた。

まずは実地調査だ。会社の仲間と大阪市内の居酒屋に入った。メニューには「チューハイ」とあるが、あえて「レモンサワー2つ」と注文したが、すんなり通った。別の居酒屋でもサワーの注文ですぐに出てきた。店員に聞くと、同じ飲み物と知っているが、メニューがチューハイの由来は知らないという。

関西発祥の大手チェーンはどうか。鳥貴族は全国の約660店全てがチューハイだ。「焼酎をベースにしているから」(同社)。グルメ杵屋が運営する杵屋では「さわやかなイメージで若い世代にも飲んでほしい」との願いから、メニューは一部を除いてサワーだ。2つの名前をどう使い分けているのか。

この謎多き飲み物の歴史を調べようと、1984年に国内初の缶入りチューハイ「タカラcanチューハイ」を発売した宝酒造を訪ねた。

「チューハイの語源は戦後広まった焼酎ハイボールです」。塩野憲司ソフトアルコール課長が教えてくれた。ウイスキーなどを炭酸で割った飲み物をハイボールと呼ぶ。当時は洋酒が高価だったため、東京下町の大衆酒場でクセのある焼酎を飲みやすく炭酸で割ったチューハイが親しまれるようになった。

チューハイ人気が広がるきっかけの一つが77年に宝酒造が発売したクセのない焼酎「純」だ。英歌手のデビッド・ボウイを起用したテレビCMで大ヒット。「この商品で焼酎へのイメージが大きく変わった」(酒文化研究所の狩野卓也社長)という。

もう一つが86年の男女雇用機会均等法の施行だ。仕事帰りの女性が安心して入れる居酒屋チェーン店が増え、クセのない焼酎を果汁や炭酸で割ったチューハイ人気が上昇。清酒文化だった関西でも広く飲まれるようになった。

でも待てよ。関東でサワーと呼ぶのはなぜだろう。悩んでいるとあるフレーズが思い浮かんだ。「わるなら♪ハイサワー」。ハイサワーを開発した博水社(東京・目黒)に行くと、3代目の田中秀子社長が対応してくれた。80年に発売したハイサワーは焼酎などに混ぜる「割り材」の一種。レモン果汁や炭酸などが入り、焼酎と混ぜればレモンサワーができる。海外企業の参入で主力のジュース事業の低迷を補うために開発した。

「ちなみに最初の商標登録は『輩サワー』ですよ」と田中社長。ハイボールの「ハイ」ではないのか。先代社長の田中専一会長が「わが輩がつくったサワー」という意味を込めたという。閑話休題。焼酎と混ぜるだけという手軽さと、耳に残るメロディーのテレビCMでハイサワーの愛飲者が増えていった。

ただ会社の規模が小さかったため、販売エリアは関東中心だった。そのため関西での認知度は関東ほど高まらなかったという。「関西はチューハイ」、「関東はサワー」を裏付ける有力な手掛かりを手に入れた。

もちろんここまでは諸説あるなかの一部。チューハイとサワーに地域性はないとの意見もある。酒文化研究所の狩野社長は「統一ルールがあったら、この飲み物はここまで広がらなかった。サワーとチューハイに持つイメージは人それぞれだが、それも楽しい」と話してくれた。

それでいいんだよな。ペンを置こうとすると再び質問が飛んできた。「ウーロンハイには炭酸が入っていないのになぜ『ハイ』なんだ」。よし、また実地調査だ。

(中尾良平)

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