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「時短食材」 業務用も開拓
ホテルや外食店、人手不足で需要 日清フーズ増産 ミツカンは拡充

2019/9/21付
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食品大手が調理時間を短くできる「時短食材」を人手不足に悩むレストランやホテルに売り込む。日清フーズは年内に、ゆで時間を半減できるパスタをトルコ工場で増産する。ミツカンはいろいろな料理の味付けをしやすい酢を増やす。時短食材の照準は共働きが増えている家庭市場だったが、業務用と両にらみで事業を広げる。

野菜をサイコロ状にしたカゴメの時短食材の売上高は1割以上増えている

野菜をサイコロ状にしたカゴメの時短食材の売上高は1割以上増えている

ゆで時間半分

日清フーズは業務用の時短食品として、ゆで時間が通常の半分以下の3分で済む早ゆでパスタを扱ってきた。年度内にも、1セット500グラムと通常の5分の1の容量にした商品を発売する。個人経営の喫茶店など小規模店を開拓するためだ。

トルコの首都アンカラにある工場に生産ラインを整え、日本に輸出する。早ゆでパスタの生産能力は2倍に高まる。通貨のリラが円に対して下落し、原材料費の安い調達などが可能になり、日本への輸出費用を考えても採算がとれると判断した。投資額は数千万円。

乾燥パスタは冷凍パスタよりも安く、需要がある。岩橋恭彦常務は乾燥パスタの調理時間を短くできたことで「飲食店のニーズを掘り起こせる」と話す。

同社は時短の技術を磨いており、今回はパスタ断面に3カ所の溝を入れる「3枚羽」技術を採用し、早ゆでと歯応えのある食感を両立させた。特許も取得している。

調理のスピードを上げる食材の販売が2ケタ伸びているというのはカゴメだ。ズッキーニやピーマン、ナスなど野菜をサイコロ状にした「冷凍イタリアングリル野菜シリーズ」は下ごしらえがいらない。皮むき、洗いなど調理の時間を1時間前後減らせる。19年1~6月の売上高は前年同期を12%上回った。

食品大手は共働き世帯が専業主婦の世帯を超えるなかで、時短商品を開発部門の重要なテーマとしてきた。日清フーズの19年3月期の売上高は1170億円で、家庭用が業務用を上回る。時短商品も家庭用が主体だ。

レストラン、カフェ、ビジネスホテルなどの調理部門では人手不足は深刻だ。厚生労働省によると「飲食物調理の職業」の7月の有効求人倍率は3.29倍だった。全体の1.41倍を大きく上回る。5年前の1.91倍よりもずいぶん高くなった。

酢使い分け不要

ホテルの朝食用に調理済みの冷凍スクランブルエッグを開発したキユーピーに、東京都内のあるビジネスホテルの担当者はこう話した。「訪日外国人が増え、海外で一般的なスクランブルエッグのメニューを増やしたいから助かる」

食品大手が取り組むのは調理のスピードを上げる商品の開発だけではない。厨房担当者の経験の違いに左右されにくい商品もターゲットだ。

ミツカンは7月、1本でいろいろなメニューに対応できる「カンタン酢」シリーズで、初めて業務用を発売した。マリネや肉料理などによって酢を使い分けなくても仕上げやすいという。

カンタン酢シリーズを発売したのは08年で、家庭用が最初だった。「カンタン酢500ミリリットル」の場合、そこから10年間で出荷が50倍に増えた。ミツカンの国内の業務用食材の売上高は239億円で家庭用の3割に満たないが、今年から軸足を業務用にも置く。

調理担当者の不足が続くと見込まれている背景にホテルの新設ラッシュがある。不動産サービスのCBRE(東京・千代田)によると、東京・大阪などでは17~20年の3年間に部屋数が4割近く増える。

矢野経済研究所によると、外食・中食などの国内の業務用食材の出荷額は前年度比の伸びが1%前後にとどまる。市場が微増のなか、食品メーカーにとって人手不足はニーズに応える商機。開発の重点はますます「時短」に移り、競争が激しくなる。

(薬袋大輝)

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