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仏アルストム、雪辱の鉄道再編 中国勢の台頭に危機感

2020/2/18 21:58
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アルストムは業界再編で規模の拡大を探っていた(仏北部)=ロイター

アルストムは業界再編で規模の拡大を探っていた(仏北部)=ロイター

鉄道車両業界で再編ムードが再び高まっている。世界3位の仏アルストムは17日、同4位のカナダのボンバルディアの鉄道関連事業を買収すると発表した。買収総額は7000億円規模で、規制当局が認めれば世界2位のメーカーが誕生する。アルストムは1年前に独シーメンスとの統合構想が当局に認められず破談となったが、執念でボンバルディアとの統合をめざす。背中を押すのは台頭する中国勢への危機感だ。

買収総額は58億~62億ユーロ(約6900億~7300億円)になる見通し。アルストムのアンリ・プパールラファルジュ最高経営責任者(CEO)は声明で、「当社が世界で地位を高める貴重な機会だ。ボンバルディアとは補完関係がある」と意義を強調してみせた。

今後は規制当局の認可を経て2021年6月までの買収完了をめざす。部品の共同調達などで4~5年内に年4億ユーロのコスト削減効果を見込む。

アルストムは高速鉄道に強い一方、ボンバルディアは地下鉄など都市鉄道に強い。買収でコスト低減に加え、環境負荷の小さい車両開発の加速などのシナジー(相乗効果)を追求するもようだ。

ボンバルディアは航空機部門での新型機の開発遅れなどが響き、90億ドル(約9900億円)超という多額の負債を抱える。主力事業の鉄道部門を手放し、売却益で財務の改善を急ぐ。今後はビジネスジェット事業に経営資源を集中させる。

アルストムはフランスが誇る高速鉄道であるTGVの製造で世界に知られる。実は今回の買収は同社にとって「雪辱戦」の意味も持つ。

アルストムは17年に業界2位のシーメンスとの事業統合を発表。だが欧州連合(EU)の欧州委員会が「競争環境を損なう」として認めず、19年に破談となった。それでもアルストムは新たなパートナー探しを続け、ボンバルディアとの合意にこぎつけた。

あくまで規模拡大にこだわった背景には中国勢の台頭がある。15年に中国の大手2社が統合し、世界最大手の中国中車が誕生した。18年度の事業売上高は約2兆5500億円で、アルストム・ボンバルディア連合(約2兆円)を大きく上回る。

中国中車は海外事業の拡大に意欲的だ。実現には至っていないものの、欧州ではチェコの車両メーカーなど複数の買収を試みてきた。19年にはポルトガルでの地下鉄整備でシーメンスなどを押さえて受注を獲得した。欧州での受注は初めてとみられる。

このほか、中国政府がインフラ整備を後押しする広域経済圏構想「一帯一路」の参加地域であるアフリカやアジアでも大型受注を増やしている。アフリカ市場などに強みを持つアルストムは危機感を強めている。

鉄道は世界的には成長産業だ。欧州鉄道産業連盟(UNIFE)によると、世界市場規模は21~23年平均で1920億ユーロ(約23兆円)にのぼり、15年以降は年率2.7%の成長が続く見通し。新興国の成長や環境意識の高まりによる公共交通へのシフトが追い風だ。

今回の買収に対する各国・地域の当局の認可については、シーメンスとの統合よりもハードルが低いとの見方がある。実現した場合は、日本勢にも影響が及びそうだ。

国内では日立製作所川崎重工業などが大手だが、世界のトップ10に入るのは7位の日立のみと規模は小さい。ボンバルディアの事業の買い手候補としては一時、日立の名前も挙がったが、東原敏昭社長は「いま投資が必要なのはITだ」と消極的だった。

規模で劣る日本勢はこれまで欧米勢と連携して入札案件などに取り組んできた。例えば日立はボンバルディアと英国の高速鉄道「HS2」の入札に共同参加するなどし、共存共栄を図ってきた。

ただ、アルストム・ボンバル連合が実現すれば1社での守備範囲が広がり、日本勢と組む必然性は低下する。日本のある車両メーカーの首脳は「欧米勢と真っ向からぶつかる可能性がある。戦略を練り直さなければ」と危惧する。

他社とのゆるやかな連携で生き残れるかは不透明な市場になりつつある。

(パリ=白石透冴、ニューヨーク=高橋そら、西岡杏)

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