新型コロナウイルスの流行で事業環境が大きく変わり、企業は機動的な財務が求められている。経済活動の再開の動きに伴って、上場企業全体では2020年6月末から9月末にかけて有利子負債が減った企業が多い。一方で増加率ランキングでは、プリンターの増産に向けグリーンボンド(環境債)を発行したセイコーエプソンなど積極的な資金調達が目立った。
3月期決算企業全体(金融、決算期変更などを除く2228社)では3カ月間で有利子負債が減った企業が51%を占め、増加企業は32%にとどまる。全体では0.9%の減額だ。増加率ランキングは時価総額3000億円以上、9月末時点の有利子負債が500億円以上の3月期決算企業を対象とした。
セイコーエプソンは7月に3本立てで計700億円のグリーンボンドを発行した。償還期間は3~10年。インクジェットプリンターはトナーを使う機器より消費電力が少ない。コロナ禍でも在宅勤務が定着して需要を押し上げている。調達資金はプリンター部品の生産能力引き上げや、フィリピン工場の電力をまかなう太陽光発電の導入にもあてる。3カ月前と比べた有利子負債は3割、手元資金も4割強増えた。
コナミホールディングスも7月に、同社としては償還期限が最長となった10年債を発行した。ゲーム事業などの成長投資も視野に入れる。ソニーは金融子会社ソニーフィナンシャルホールディングスの、完全子会社化にともなう借り入れが大きかった。
一方、業績悪化が目立った東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドの有利子負債は6月末に比べると2.1倍だ。入園者数は制限しているが、拡張工事などのため同社として22年ぶりの規模となる総額1000億円の社債を発行した。小田急電鉄やJR西日本などもランキング上位に顔を出した。
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