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原発事故で国の責任否定、東電には賠償命令 東京高裁

社会・くらし
2021/1/21 14:16 (2021/1/21 20:00更新)
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東京電力福島第1原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民91人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(足立哲裁判長)は21日、いずれの賠償責任も認めていた一審・前橋地裁判決のうち、国の責任を否定した。東電の責任は認めて1億1900万円余の支払いを命じた。

国の責任が問われた訴訟の高裁判決は2例目。2020年9月の仙台高裁判決は国の責任を認めている。

記者会見をする原告側の弁護士ら(21日、東京都千代田区)

記者会見をする原告側の弁護士ら(21日、東京都千代田区)

判決で足立裁判長は、政府機関が02年7月に公表し、三陸沖北部から房総沖でマグニチュード8級の地震が発生する確率を「30年以内に20%程度」とした長期評価の合理性を検討した。

まず、評価に用いた過去の地震について「発生したか異論がある」と指摘。その上で最大5・7メートルの津波が原発に到来する、とした東電の試算根拠となった土木学会の想定とも異なることから、国は長期評価から東日本大震災の津波は予見できなかったと判断した。

また、仮に東電が長期評価に基づき防潮堤などの対策を講じたとしても事故発生は防げず、「国の対応に問題があったと認めるのは難しい」と言及。「東電に規制権限を行使しなかったことは著しく合理性を欠いたものではなかった」として国家賠償責任を認めなかった。

判決は東電の責任に関し、避難指示区域外の住民を中心に賠償対象を拡大した。17年3月の一審判決が認定した62人に対する計3855万円から上積みし、90人への支払いを命じた。

一審判決は長期評価の合理性を認め、東電が対策を怠った結果、配電盤が水をかぶり事故が起きたと指摘。国については遅くとも東電から津波対策の記載がない耐震性評価の中間報告を受けた08年3月ごろには、規制権限を行使すべきだったと判断した。住民、国、東電がいずれも控訴していた。

住民側の弁護団が判決後、東京都内で記者会見し「業界内部の基準にすぎない土木学会の想定を優先するなど、証拠に基づかない判断をした」などと述べた。

判決について、原子力規制委員会は「国への請求が棄却されたと承知している。いずれにせよ適正な規制を行っていきたい」、東電は「判決内容を精査し、対応を検討する」とそれぞれコメントしている。

■事故から10年、割れる司法判断

法務省によると、原発事故を巡って、避難住民らは国に賠償を求める訴訟を約30件起こしており、原告数は1万1961人(1月8日時点)に上る。今回の東京高裁判決を含めた各地の一、二審判決は、8件で国の責任を認める一方、8件が否定した。事故発生から3月で10年を迎えるなか、法的評価は依然として割れている。
国家賠償の請求総額は約1063億円。北海道から九州までの地裁と支部計20カ所に提訴された。
国の責任の有無を判断する上では津波の予見可能性が主な焦点となっている。訴えを認めた判決は「大津波は予見でき、東電に事故対策を命じれば防げた」として、規制権限の不行使を違法と認定。否定したケースでは「大津波の襲来は確立した知見といえない」などとして請求を退けた。
同種の訴訟は、少なくとも2月19日の東京高裁(一審・千葉地裁)のほか、地裁で係争中の3件が年内の判決言い渡しを予定している。二審で初めて国の責任を認めた2020年9月の仙台高裁判決は国、住民側の双方が上告しており、最高裁の判断が注目される。
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