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石炭火力、抑制姿勢に転換 欧州「全廃路線」と一線

2020/7/3 2:00
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石炭火力への依存度を下げるのは容易でない

石炭火力への依存度を下げるのは容易でない

経済産業省が低効率な石炭火力発電所の休廃止に乗り出す。低効率とされる約110基のうち9割にあたる100基程度を対象とし、2030年度までに段階的に進める。国際社会の強い批判に応える狙いだ。ただ急激な抑制には電力各社の反発も強く、経産省は低効率型の休廃止を進める一方、高効率型の発電所は維持する方針。欧州の全廃路線とは一線を画すことになり、どこまで理解を得られるか微妙だ。

石炭火力に依存し続ける日本に対し、国際社会は厳しい目を向けている。石炭火力は温暖化ガスを大量に排出することから「気候変動リスクを助長する」との批判が強く、脱炭素の流れは「脱石炭発電」へとつながっている。みずほフィナンシャルグループ(FG)が新設の発電所に資金を出さない方針を打ち出すなど、国内企業の姿勢も変化する中、経産省も対応を急がざるを得ない。

経産省が検討するのは発電効率の悪い旧式の施設100基の休廃止だ。従来より高温・高圧で発電のための蒸気を生み出せる「高効率型」への移行を促す。国内に石炭火力は140基あり、うち技術の進展が反映されていない旧式は110基ほどになるという。

国の長期計画では30年度の電源構成に占める石炭の割合を26%としており、国際大学の橘川武郎教授は「旧型の休廃止と高効率型の新増設を差し引いて、30年の石炭火力の比率は20%程度まで低下する可能性がある」と指摘する。

高効率型への移行とともに、液化天然ガス(LNG)を使った火力発電も拡大する。LNGは石炭よりは環境負荷が小さいが、海外での調達が難しくコストも高い。安定確保に向けた取り組みが欠かせない。

ただ、いち早く全廃の方針にカジを切った欧州にはなお見劣りする。英国では総発電量に占める石炭火力の割合を10年の約3割から徐々に減らし、25年には廃止する計画。欧州では際だって石炭火力への依存度が高いドイツですら、遅くとも38年までに廃止する方針を打ち出している。

いくら高効率といっても、石炭火力の発電量あたりの二酸化炭素(CO2)排出量は再生エネより圧倒的に多い。1キロワット時あたりの排出量は太陽光や風力が数十グラム。経産省によれば、石炭火力は日本の平均で約900グラムに上る。高効率の設備に置き換えても排出量の削減効果は1~3割程度にとどまる可能性があり、国際社会の批判をかわしきれない恐れがある。

日本の場合は石炭火力に依存せざるを得ない事情もある。石炭火力は燃料が比較的安価で、電力料金が高くなるのを抑えている面がある。原油などと比べ市場取引の影響を受けにくい。

経産省はエネルギー自給率が低い日本にとって廃止は非現実的とみる。火力見直しと同時に、再生エネ拡大と原発再稼働を急ぐ構えだ。再生エネについては、送電網利用ルールの見直しなどで普及を後押しする。だが、天候によって発電量が左右される特徴があり、再生エネが増えると、発電量を調整しやすい石炭火力の役割が増すといった矛盾を抱える。

一方、原発も現在、発電量全体に占める割合は約6%。安全基準の見直しや地元住民の反発などもあり、再稼働は思うように進んでいない。石炭火力抑制、排出量削減への道筋は先行きの不安を拭いきれていない。

■■電力会社「困難」の声

 全国の大手電力各社は電力調達の多くを石炭火力に頼っており、経営に与える影響は大きい。

中国電力の場合、合計259万キロワットの石炭火力を持っており、顧客に販売する電力のうち47%が石炭由来の電力だ。北陸電力は同50%で、比較的石炭の依存度が低くなっている東京電力ホールディングスでも20%を占めている。

段階的に建て替えや廃止を進めているといっても、老朽化した発電所に頼っている地域も少なくない。中国電力の下関発電所1号機(山口県下関市)は稼働から53年が経過し、Jパワーの高砂火力発電所1号機(兵庫県高砂市)も52年たっている。

大手電力からは「基準が決まっていないので何とも言えないが、9割の石炭を廃止するのは困難だ」(東電関係者)との声があがる。西日本が地盤のある電力会社は「石炭を廃止する以上、国が原子力発電所の新増設を後押しすべきだ」と話した。

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