傘下企業を通じ、世界各地でヘルスケア製品の開発・生産・販売を手がける。
米J&Jのベビーパウダー商品(2019年撮影)=ロイター
【ニューヨーク=西邨紘子】米連邦巡回区控訴裁判所は30日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)傘下でベビーパウダー事業を手掛ける子会社の破綻申請を認めない判断を下した。
J&Jは、ベビーパウダー使用による健康被害を巡り、4万件近い訴訟に直面する。同社は訴訟に伴う巨額の負担を本体から切り離すため、2021年にベビーパウダー事業を手掛ける子会社の「LTLマネジメント」を設立。そのうえでLTLが日本の民事再生法に当たる米連邦破産法11条(チャプター11)を申請し、破綻裁判所の管理の元で賠償金支払いなどの解決をめざした。
連邦巡回裁判所は今回、LTLが破綻申請の時点で「財政的に危機的状況にあったとは認められない」と指摘。同社へのチャプター11の適用は不適切と判断を説明した。米メディアによると、J&Jはこの判断を不服とし対応を検討する方針だ。
J&Jのベビーパウダー健康被害をめぐっては、21年に20人以上の女性が卵巣がん発症を訴えた訴訟でミズーリ州裁判所がJ&Jに21億ドル(約2730億円)の賠償金支払いを命じていた。J&Jは一貫して、同社のベビーパウダー商品の安全問題を否定している。
アスベスト被害を巡る訴訟は賠償金が巨額になるケースが多い。米メディアによると、過去にも紙製品のメーカーなど複数の企業が事業分割を伴う破産法の適用を申請した。