【通信事業最大手】持ち株会社。傘下に東西地域会社やドコモなど。
100キロメートル以上はなれても同じ手術室のような環境にする
NTTは16日、次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の低遅延技術を活用した遠隔医療やゲーム対戦競技「eスポーツ」など研究開発の展示会を開いた。2023年春にはIOWNの初の商用サービスとなる回線サービスの展開を始める予定だ。IOWNを中心とした研究開発にグループをあげて力を注ぐ。
「NTT R&D フォーラム Road to IOWN 2022」をオンラインで一般向けに18日まで開く。
展示会では手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」を手掛けるメディカロイド(神戸市)と共同で実証を進める、拠点間が100キロメートル以上離れていても低遅延で遠隔手術ができる取り組みを紹介した。IOWNの光の伝送技術を活用することにより、拠点間で1波長あたり100ギガビット毎秒以上の大容量で伝送し、8Kの高精細な映像も圧縮せずに送ることができる。遅延のゆらぎのないロボット制御などで離れた医師と患者が同じ手術室のような環境を実現するという。距離が120キロメートル離れた状況を仮定した遠隔操作も披露した。
東京都武蔵野市と秋葉原の会場をつなぎ、遅延のゆらぎのないeスポーツ対戦を実施した
eスポーツでのIOWNの活用も紹介した。eスポーツでは多少の遅延も勝敗に影響するとされる。報道機関向けの展示会では、武蔵野市の会場と秋葉原をつないだ対戦も披露。遅延の揺らぎをなくし、一定にすることで、遠隔会場間でも公平な対戦が可能になるという。
IOWNは30年度以降に半導体からネットワークまでの伝送を従来の電子から光に置き換える構想だ。遅延を200分の1にするほか、伝送容量を125倍、電力効率を100倍にする。23年春からは遅延を200分の1にし、遅延の可視化や調整を可能にした回線サービスの提供も始める。14日に開いた説明会でNTTの島田明社長は「これほど低遅延にすることは世界で初めてだ。日本でユースケースが増えることで次の展開も見えてくる」と意気込みを語った。
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