【グループウエアソフト開発】企業の部門向け。少人数用が主力。
災害時の安否確認システムなど法人向けクラウドサービスを運営しているトヨクモが24日、東証マザーズに上場した。初日は買い気配のまま取引が成立しなかった。気配値は公募・売り出し価格(公開価格、2000円)の2.3倍となる4600円。同日の記者会見で山本裕次社長は「2021年にも新たな事業の柱となるサービスを投入していく」と語った。主なやりとりは次の通り。
――初日は買い気配で取引を終えました。
「非常に高い期待をいただいていると実感している。本音を言うと、今日にも値段がついて落ち着いたところから徐々に(上がる)というのが良いが、期待がその分高かったんだと思う。プレッシャーを感じながら、応えられるように頑張っていきたい」
――事業の強みと収益性をどう分析していますか。
「当社の事業は2本柱で、災害時の安否確認システムと、サイボウズ社のクラウド型ソフト『キントーン』と連携するデータ保全などのシステムだ。キントーンはプログラミングをせずに売り上げや顧客管理などの業務システムをつくれるサービスで、日本を中心に1万5000社以上が利用し、導入企業が増えている」
「2つともネットで直販している。当社の顧客は6000社近くに上るが、それをわずか30名くらいの従業員で、顧客サポートなどをしながら運用しているのが特徴だ。このため効率を上げて収益を確保できる。2020年12月期の売上高営業利益率は20%弱を予想している。今後も売上の伸びほどは広告を伸ばそうとは考えていないので、徐々に利益率が伸びていくだろう」
――今後の成長戦略をどう考えていますか。
「まずは新たな柱となるサービスを出していく予定だ。現在、開発を進めており、21年に1つ出したいと思っている。業種にあまり縛られず、どの会社でも使いそうな日常的な業務をIT(情報技術)化していくようなものを考えている」
「将来は海外展開も考えていきたい。やり方としては2種類。まずはキントーンが世界で売れるのに合わせて、連携サービスを視野に入れている。2つ目はまだ先になると思うが、海外向けのプロダクトをしっかりと作って展開していく。まずは日本で成長してから世界へタイミングよく行きたいと思っている」
――公募調達した資金も含め、何に重点投資していきますか。
「ITは人が命で、最も投資すべきものだ。毎年10%近く平均年収を上げており、さらに給料を上げることで優秀な人材を確保できるようにしていきたい。今の平均年収は650万円くらいで、まだまだ不十分だと思っている。さらにチャレンジしていきたい。そこにこだわっている」
(押切智義)
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